詰め物・被せ物

被せ物に段差があるとどうなる?

被せ物に段差があるとどうなる?

茨木クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 脇田 悠仁

「装着している被せ物が合わない」「歯茎との段差が気になる」というお悩みに対して、対処方法をご案内します。

段差ができる原因

被せ物に段差ができる原因には、主に以下のような点が考えられます。

噛み合わせの調整不良

治療後に被せ物がしっかり噛み合っていない場合に段差が生じることがあります。特に奥歯での噛み合わせが重要です。

素材の摩耗

被せ物の素材(レジンやメタルなど)が咀嚼によって摩耗することで、周囲の歯や歯茎との段差が生じることがあります。

歯茎の退縮

歯周病や加齢によって歯茎が下がり、被せ物の境目が露出することでも段差ができる場合があります。

被せ物に段差があると何が起こる?

被せ物に段差があると、歯や口腔全体に以下のような影響を及ぼす可能性があります。

1. 虫歯の再発リスク

詰め物や被せ物に段差があると、その部分に食べ物のカスや歯垢が溜まりやすくなります。段差があると歯ブラシやフロスが行き届かず、虫歯の原因となる細菌が繁殖するリスクが高まります。特に、段差部分に細菌が深く入り込むと、詰め物・被せ物の内部から虫歯が発生しやすくなります。

2. 歯茎への悪影響と歯周病リスク

段差があることで詰め物や被せ物の周りに歯垢や歯石が付きやすくなり、炎症を引き起こすことがあります。これが続くと歯茎が腫れたり、出血したりする歯肉炎や、歯周病のリスクが高まります。特に、段差が深い場合は歯周ポケットが形成され、歯周病が進行する可能性があり、歯の根が露出してしまうこともあります。

3. 詰め物・被せ物の劣化や破損

段差がある状態で詰め物や被せ物を長期間放置すると、噛み合わせにズレが生じ、力が一部に集中してしまうことがあります。その結果、詰め物や被せ物が摩耗したり、取れてしまうことがあります。さらに、段差がある部分から虫歯が進行してしまうと、詰め物や被せ物自体を再度作り直さなければならない場合もあります。

4. 噛み合わせへの影響と顎関節症

段差があると、噛み合わせのバランスが崩れることがあります。噛み合わせが悪くなると、歯や顎に不必要な負荷をかける原因となり、顎関節症(TMD)のリスクを高めます。顎関節症では、顎の痛みや音が鳴る、口が開きにくいなどの症状が現れることがあり、日常生活に支障をきたす場合もあります。

5. 他の歯への悪影響

段差によって噛み合わせがズレると、周囲の健康な歯にも悪影響を与えることがあります。特定の歯に過度な力が加わると、その歯が摩耗したり、場合によっては破折(歯が割れる)するリスクが高まります。また、歯並びのバランスが崩れると、矯正が必要になることもあります。

6. 審美的な問題

詰め物や被せ物に段差があると、見た目にも影響を与えることがあります。特に前歯に段差がある場合、口元の見た目が不自然になり、患者さんの審美的な満足度が低下します。また、段差が原因で詰め物や被せ物の色が暗く見えることもあり、見た目の美しさが損なわれる可能性があります。

7. 口臭の発生

段差があることで、食べ物のカスや細菌が詰まりやすくなり、口腔内の清潔が保ちにくくなります。その結果、口臭の原因となる揮発性硫黄化合物(VSC)が生成されやすくなり、強い口臭が発生することがあります。特に、詰め物や被せ物の段差部分を清掃しにくい場合、口臭の悪化が懸念されます。

8. 治療の必要性と対策

段差がある場合、早期の対策が必要です。段差を放置しておくと、上記のような問題が進行し、複雑な治療が必要になることがあります。歯科医での定期検診に加え、段差が気になる場合は早めに調整や修復を依頼することが推奨されます。必要に応じて、詰め物や被せ物の再作成や調整を行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

被せ物の不適合が起きた場合の治療方法

歯医者で行う手順をご説明します。

まず、不適合冠を除去します。クラウンの下が二次むし歯になっていないか、歯科医師がきちんとチェックを行った後、適合する仮歯を装着します。スケーリングやルートプレーニングと呼ばれる歯石やバイオフィルムの除去をクリニックで行った後、患者様ご自身で歯磨きを行ってもらいます。歯肉の色が改善すれば、適合するクラウンを作製し、再度被せ物の治療を行います。

被せ物に段差がある場合に関するQ&A

被せ物の適合とは何ですか?

被せ物の適合とは、歯に対して正確かつ適切にフィットすることを指します。被せ物は歯を削って作られるため、被せ物と歯の形状や接合部の隙間に適切な適合が必要です。適合が悪い場合、不適合冠となり、歯周組織に悪影響を及ぼす可能性があります。

被せ物に段差があると何が起こりますか?

被せ物に段差があると、歯周ポケットや歯間の清掃が困難になります。歯ブラシの毛先が被せ物に邪魔され、プラーク(歯垢)の除去が十分に行えなくなるため、細菌の増殖が起こります。細菌感染により歯周病のリスクが高まり、歯肉の腫れや出血、最悪の場合には歯の喪失や歯槽骨の損失が起こる可能性があります。

被せ物の不適合が起きた場合の治療方法は?

不適合な被せ物の治療方法は以下のような手順で行われます。まず、不適合冠を除去し、二次むし歯の有無や歯の状態を確認します。次に、適合する仮歯を装着し、歯石やバイオフィルムの除去を行います。その後、患者自身の歯磨きと定期的なクリーニングにより歯肉の改善を促し、適合する新しい冠を作製して再度被せ物の治療を行います。

まとめ

歯のキャラクター

ブラッシングで歯周ポケットや歯と歯の間の汚れを取り除くことはとても大切です。被せ物に段差があるとわからなくても、下記のような症状があれば不適合冠のサインである可能性があります。迷わず歯科医院のスタッフやドクターへ相談し、治してもらいましょう。

金属の被せ物をした歯がしみる
噛んだら被せ物の歯に痛みがある
被せ物が外れたり取れやすくなった

この記事の監修者
医療法人真摯会 茨木クローバー歯科
院長 脇田 悠仁

徳島大学 歯学部卒業卒業。日本口腔インプラント学会。日本成人矯正歯科学会。日本臨床歯科学会(大阪SJCD) 学術委員・査読委員 兼任。日本臨床CADCAM学会。

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