虫歯の治療は痛いという印象がありますが、最近では出来るだけ痛みを感じさせないように配慮した治療が行われています。虫歯の治療の痛みについてご説明します。
目次
治療の痛みは虫歯の進行レベルによって違う
虫歯の治療は虫歯の進行度合いによって歯の象牙質を削る、歯髄を取る(神経を取る)、抜歯する等、処置が違ってきますし、痛みが出る場合と出ない場合があります。
具体的には、虫歯の進行度は5段階に分かれており、進行に応じて症状が違います。「C0」「C1」のように虫歯がエナメル層にとどまっていれば、エナメル層には神経が通っていないため、歯を削っても痛みは感じません。
虫歯がやや大きくなる「C2」以降は、虫歯が神経に近づけば治療に痛みが伴います。虫歯の表面の穴は小さくても、歯の内側で虫歯が深く広がっている可能性があるため、麻酔をしないと痛みを感じる場合があります。
「C3」は虫歯が神経に達しているためとても痛いですが、実際の治療では麻酔をしますので痛みは殆ど感じません。「C4」は既に神経が機能していないので、痛みは感じません。
痛みの原因は?
虫歯治療中に感じる痛みの多くは、虫歯が神経に近い場合や、神経に達している場合に起こります。神経が刺激されると、治療中に痛みを感じやすくなります。治療前に麻酔を行うことで、通常は痛みを軽減できますが、麻酔が効きにくいケースもあります。
虫歯の治療は痛い?
治療に痛みが予想される場合は必ず麻酔をします。そして処置後に痛みが出る可能性がある場合は、痛み止めを処方し、治療中治療後になるべく痛みを感じないように配慮した治療が行われています。
麻酔の注射もなるべく痛みを感じにくくするような方法で行うことが出来ます。この麻酔は局所麻酔といって、これから処置をする歯の周囲の歯茎に注射針で麻酔を注入していきます。
痛くない麻酔注射
麻酔の注射自体も痛く感じないようにするため、歯科医院では麻酔の注射の前に表面麻酔を歯茎に塗る、極細の注射針を使う、麻酔薬を体温程度に温めておく、同じスピードでゆっくりと麻酔薬を注入できる電動麻酔注射器を使う等の工夫をしています。
麻酔がしっかり効いてから治療する
痛みを感じる可能性がある治療を行う時には、必ず麻酔をします。麻酔が効くまでの時間をゆっくり取り、麻酔が聞いていることを何度も確認しながら、患者さんが治療中の痛みを感じないように治療を行います。
うとうと眠った状態になる吸入式の笑気麻酔
歯の治療に不安感や恐怖感を感じる方には、笑気麻酔がおすすめです。お子さんにもよく使われます。
笑気麻酔は、亜酸化窒素(笑気)と医療用酸素を混合した気体を吸入してリラックスした状態にし、痛みを感じにくくするというものです。軽いうたた寝のような状態になりますので、緊張することなく治療を受けることが出来ます。
笑気ガスを止めると、数分で麻酔の影響がなくなりますので、患者さんはそのまま歩いてお帰りになれます。ただし、笑気麻酔は鼻から吸いますので、アレルギー性鼻炎などで鼻が詰まっている状態の方には効果が期待できません。
笑気麻酔をご希望の患者さんは、ご予約時におっしゃっていただけると診療がスムーズです。※笑気麻酔は保険適用です。
治療を先延ばしにしないこと
虫歯はある程度進行してしまうと、自然に治ることはありません。放っておくとどんどん酷くなってしまいます。虫歯の穴が大きくなって歯が割れてしまうと、神経を取って大きな被せ物で治療しなければならなくなり、治療日数も費用も多くかかります。
軽度の虫歯でしたら、少し削ってレジン(プラスチック)で詰めるだけで済みます。レジンなら保険適用ですし、一日で治療が終わりますので、少しでも歯に違和感を感じたら出来るだけ早めに来院して頂けるようにお願いします。
痛みを軽減するためのポイント
早期発見・早期治療
虫歯が進行する前に治療を行うことで、痛みを最小限に抑えることができます。定期的に歯科検診を受け、虫歯が小さいうちに治療を受けることが重要です。
治療前に医師と相談する
治療に対する不安がある場合や、痛みに敏感な場合は、事前に歯科医師に相談しておくことが大切です。麻酔の強さや種類、治療方法についても相談し、安心して治療を受けられるようにしましょう。
歯科恐怖症に対するアプローチ
心理的サポート
虫歯治療に対する不安や恐怖心を持つ患者さんには、心理的なサポートが重要です。歯科医院によっては、リラックスできる環境作りやカウンセリングを提供しているところもあります。医師との信頼関係を築くことで、治療に対する恐怖心が軽減されます。
段階的な治療法
怖がりの患者さんに対しては、最初に簡単なクリーニングや検査から始めて、少しずつ慣れていただくというアプローチが効果的です。いきなり治療に入るのではなく、歯科医院に対する恐怖心を和らげることが目的です。
麻酔が効きにくい患者さんへの対応
麻酔が効きにくい理由
体質や緊張状態によって、麻酔が効きにくい患者さんもおられます。特に強い不安や緊張があると、麻酔の効果が薄れることがあります。このような場合、リラックス効果を高める笑気麻酔を併用したり、より強力な麻酔法を検討する場合もあります。
虫歯の治療時の痛みに関するQ&A
虫歯の進行度合いによって治療方法が変わり、虫歯が神経に近づくと痛みが伴うことがあります。進行度は5段階に分かれ、虫歯がエナメル層に留まっている場合は痛みを感じませんが、神経に達している場合は非常に痛いです。
治療中に予想される痛みに対しては必ず麻酔を行います。また、治療後にも痛みが出る可能性がある場合は痛み止めを処方し、患者の痛みを最小限に抑えるように配慮されています。
歯科医院では麻酔の注射前に表面麻酔を行ったり、極細の注射針を使用したり、麻酔薬を体温に近い温度に温めるなどの工夫があります。また、電動麻酔注射器を使用することで痛みを軽減することができます。
まとめ
患者さんに痛みやストレスのない治療を受けて頂けるように、歯科医院では痛みを抑えた無痛治療を目指して様々な取り組みをしています。歯科治療に恐怖や不安を感じておられる方への笑気麻酔もおすすめです。