インプラント

インプラントの手術後にやってはいけないこととは?

インプラントの手術後にやってはいけないこととは?

インプラント術後の数週間から数か月にわたり、正しいアフターケアを行うことで、インプラントの定着を促進し、将来的なトラブルを防ぐことができます。一方で、やってはいけない行動を取ってしまうと、インプラントの失敗や感染リスクが高まる可能性があります。インプラント手術後に避けるべき行動と、適切なケア方法についてご説明します。

手術後に避けるべき食べ物・飲み物

術後の食事には特に注意が必要です。以下の点を守ることで、インプラントの成功率を高め、感染のリスクを減らすことができます。

  • 硬い食べ物と粘着性のある食べ物は避ける
  • 熱すぎる飲食物を控える
  • アルコールと喫煙を避ける

1. 硬い食べ物は避ける

手術後はインプラント周辺の組織がまだ完全に治癒していないため、硬い食べ物は負担をかけることになります。特にインプラントが骨にしっかりと定着するまでの間は、以下のような硬い食べ物を避ける必要があります。

  • ナッツ類・・歯やインプラントに強い圧力をかける可能性があります。
  • 飴やクラッカーや煎餅・・噛む際に強い力が必要で、インプラント部分にダメージを与える可能性があります。
  • するめやビーフジャーキー・・飲み込みまでにしっかりと咀嚼する必要があるため、インプラントと骨との結合を妨げる場合があります。

硬い食べ物はインプラント周囲の歯肉や骨に過度の負荷をかけ、手術後の回復を遅らせるだけでなく、最悪の場合、インプラントの失敗につながる可能性があります。

2. 粘着性のある食べ物は避ける

粘着性のある食べ物は、歯垢が溜まりやすく、口腔内の衛生状態を悪化させる可能性があります。手術後は以下のような食べ物を避け、インプラント周辺に汚れが残らないように注意することが重要です。

  • ガムやキャラメル・・粘着性が強く、インプラントの周辺にくっつきやすいため、歯垢がたまりやすくなります。
  • 柔らかいパンやもち・・口腔内に残りやすく、手術部位に負担をかける可能性があります。

これらの食べ物は、口腔内に長く残ることで細菌が繁殖しやすくなり、感染のリスクを高めるため、回復期間中は控えましょう。

3. 熱すぎる飲食物は控える

術後の傷口が回復するまでの間は、熱い飲食物によって炎症を引き起こす可能性があります。特に、次のような食べ物や飲み物には注意が必要です。

  • 熱いスープやお茶・・手術後の歯肉はデリケートで、熱によって傷口に刺激が加わることで炎症が発生する可能性があります。
  • 熱いコーヒーやアルコールを含むホットドリンク・・これらは血行を促進し、出血を引き起こすリスクもあるため、避けるべきです。

適温の飲食物を選び、口腔内に大きな温度変化を起こさないようにすることが重要です。

4. アルコールは避ける

手術後のアルコール摂取は、治癒を遅らせる大きな原因となります。アルコールは血行を促進し、出血を助長する可能性があるため、少なくとも術後2週間は控えることが推奨されます。

また、アルコールには脱水作用もあり、口腔内の乾燥を引き起こし、回復を妨げることがあります。インプラントの治癒において、適切な湿潤状態が重要であるため、アルコールは完全に避けるべきです。

5. 喫煙を控える

飲食に関連する習慣として、喫煙も大きなリスク要因です。タバコは口腔内の血流を低下させ、傷の治癒を遅らせるだけでなく、感染のリスクも高めます。喫煙によってインプラント周辺の骨の再生が阻害されるため、手術後の数週間は禁煙が強く推奨されます。

手術後の飲食習慣は、インプラントの成功に直結します。適切な食事選びとケアを行うことで、手術後のリカバリーをスムーズに進めることができ、インプラントの長期的な安定につながります。

歯磨きや口腔ケアで注意すること

術後の口腔ケアは非常にデリケートです。適切なケアを行わないと歯垢がたまり、感染のリスクが高まります。

インプラント周辺のケアは優しく行う

インプラント手術後すぐの期間は、傷口を避けながら優しく歯磨きを行う必要があります。歯磨きは、柔らかい歯ブラシを使用し、手術部位に刺激を与えないように気を付けてください。

口腔洗浄剤の使用

強力な殺菌作用のあるマウスウォッシュの使用は、術後の口内環境を整えるのに効果的です。ただし、アルコールを含むものやミントの刺激の強いものは避け、歯科医の指示に従って使用しましょう。

歯間ブラシやデンタルフロスの使用

インプラント周辺の歯垢を取り除くためには、デンタルフロスや歯間ブラシも有効です。ただし、無理に力を入れず、やさしく使用することがポイントです。

日常生活で避けるべき行動

日常生活でも、インプラントの回復を妨げないようにするための注意が必要です。

激しい運動は避ける

術後の数日間は、激しい運動を避けるべきです。運動による血行促進は、出血を引き起こす可能性があり、また身体全体に負担をかけることになります。軽い散歩などは問題ありませんが、強度の高い運動は医師の許可が出るまで控えましょう

インプラント部位を触らない

手術部位に指で触れることや、舌で触ることは避けましょう。刺激を与えることで、炎症を引き起こしたり、傷の回復を遅らせる原因となります。

口を強くすすがない

術後すぐに強くうがいをすることは、血の固まり(血餅)をうがいで流してしまい、回復を遅らせる原因になります。うがいをする場合は、軽く行うことを心がけましょう。また、ストローの使用も血餅がはがれやすくなるため、控えましょう。

適切なケアを続けるためのポイント

インプラントの長期的な成功のためには、術後も適切なケアを継続することが大切です。

定期的な口腔内のメンテナンス

術後の経過を確認するため、定期的な健診は欠かせません。初期段階で問題を発見し、早期に対処することで、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。

インプラント専用のケア用品を使用する

市販の歯ブラシや口腔ケア用品の中には、インプラントに適したものがあります。柔らかい歯ブラシや、歯間ブラシ、フロスなど、インプラントの清掃に適したものを選び、正しいケアを続けましょう。ケア用品の中には歯科医院でのみ販売されているものもあり、歯科医院の受付で購入することが出来ます。

定期的な健診の重要性

インプラントの手術後、定期的な歯科健診を受けることが不可欠です。健診では、インプラントの状態を確認し、周囲の歯肉の健康状態もチェックします。もし問題があれば、早期に対処できるため、インプラントの長期的な成功率を高めることができます。

健診時にチェックされるポイント

  1. インプラント周囲の歯肉の健康状態
  2. インプラント自体の安定性
  3. 歯垢や歯石の蓄積状況

定期的な健診を受けることで、患者さん自身の安心感も得られ、インプラントの持続性を向上させることができます。

インプラントの手術後にはさまざまな注意点がありますが、適切なケアを行うことで、インプラントの成功率を高め、長期間にわたって安定した口腔環境を保つことができます。患者さんは歯科医の指示をしっかり守り、自身でもできる限りのケアを行うことが重要です。

まとめ

インプラントの手術後の患者さん自身のケアは、治療を成功させるための大きな要因となります。硬い食べ物やアルコールを控え、正しい方法で口腔ケアを行うことで、術後の回復を早め、インプラントの安定に繋がります。

また、定期的な健診を受け、歯科医と連携しながら適切なケアを続けることで、長期的にインプラントを良好な状態で維持することが可能です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 茨木クローバー歯科
院長 脇田 悠仁

徳島大学 歯学部卒業卒業。日本口腔インプラント学会。日本成人矯正歯科学会。日本臨床歯科学会(大阪SJCD) 学術委員・査読委員 兼任。日本臨床CADCAM学会。

▶プロフィールを見る

茨木クローバー歯科・矯正歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック