歯と口のトラブル

噛むと歯が痛いときの原因と治療とは?

噛むと歯が痛むときの原因と治療とは?

食事中や歯を磨くときに違和感や痛みを感じると、日常生活にも支障をきたします。このような痛みを放置すると、虫歯や歯周病が進行し、より深刻な問題を引き起こす可能性があります。噛むと歯が痛む原因とその治療法についてご説明します。

噛むと歯が痛む主な原因

噛むと歯が痛いと感じる原因は複数存在します。痛みを起こしている原因は歯の状態や周辺組織の健康状態に悪影響を与え、場合によっては複数の要因が組み合わさって痛みを引き起こしていることもあります。噛むと歯が痛む主な原因は以下のようなものです。

1. 虫歯

虫歯は歯の表面から徐々に内部へ進行する病気です。初期の段階では痛みを感じることが少ないですが、進行するにつれて歯の神経に近づき、噛んだときに鋭い痛みを感じることがあります。

特にC3やC4といった深い虫歯では、既に神経が侵されているため、強い痛みを感じることが多いです。虫歯が原因の場合、出来るだけ早く治療を行わないと虫歯が進行します。治療が遅れると最終的に歯の神経を抜かなければならない場合もあります。

2. 歯周病

歯周病は細菌の出す毒素で歯茎や歯を支える骨に炎症が起きる病気です。初期段階では自覚症状が少なく、進行するにつれて歯茎の腫れや出血などの症状が見られます。重度になると歯を支える骨が徐々に破壊され、膿がたまる場合もあり、噛むときに歯が痛むようになります。

特に硬い食べ物を噛んだときに違和感を覚えたり、歯がぐらつく感覚を伴うことがあります。歯周病は放置すると歯を失うリスクが高くなるため、早めの治療が必要です。

3. 歯にひびが入っている

歯のひびは、強い咬合力や外部からの衝撃、歯ぎしりなどが原因で発生します。亀裂が入ると、噛むときに歯に圧力がかかり、痛みを引き起こすことがあります。ひびの大きさによっては、噛んだときに瞬間的な痛みや違和感を感じるだけでなく、持続的な痛みが続くこともあります。

特にひびが神経にまで到達していたり、歯の根にひびが入っている場合、痛みが激しくなる傾向があります。治療には神経を抜いて被せ物をするか、抜歯が必要になることもあります。

4. 詰め物や被せ物の不具合

詰め物や被せ物が古くなったり、歯にフィットしていない場合、噛んだときに痛みが生じることがあります。詰め物がしっかりと接着されていないと、隙間から細菌が内部に入り込み、二次的な虫歯が発生しやすくなります。

また、クラウンや詰め物が合わない場合、特定の部分に噛むときの負担が集中することで痛みが起こることがあります。

5. 顎関節症

噛むときに歯だけでなく顎に痛みを感じる場合、顎関節症を起こしている可能性があります。顎関節症は、歯ぎしり、ストレスなどが原因で噛み合わせが悪くなり、顎関節に負担がかかって痛みを引き起こす病気です。

顎の動きに異常があると、噛む力が正常に分散されないため、特定の歯に過度な力がかかって痛みを感じる原因になります。

これらの原因はそれぞれ異なる治療法が必要になりますが、放置すると症状が悪化して治療が複雑になる可能性があります。噛むと歯が痛む症状を感じたら、早めに歯科医院で診断を受け、適切な治療を受けることが大切です。

歯の痛みが続く場合の診断方法

噛むと痛む症状が続く場合、早めの診察が必要です。歯科医師は次のような方法で診断を行います。

  1. 患者さんからのヒアリング・・痛む場所、どのような痛みか、冷たいものや温かいもので痛むか等、患者さんにいくつかご質問します。
  2. 視診・・歯や歯茎の状態を直接確認し、虫歯や歯周病の有無を確認します。
  3. X線撮影・・見た目では確認できない歯の内部や骨の状態をチェックします。

これらの診断を通じて、痛みの根本原因を特定し、適切な治療方針が立てられます。

噛むと歯が痛む際に考えられる治療法

痛みの原因や症状の進行度により、治療の種類が変わるため、適切な診断がまず重要です。一般的に噛むと歯が痛む場合に適用される主な治療法は以下の通りです。

1. 虫歯治療

虫歯が原因で噛むと歯が痛む場合、進行度に応じた治療が行われます。初期の虫歯であれば、虫歯部分を削って詰め物(詰め物やコンポジットレジン)を埋め込む治療が一般的です。C2やC3の段階になると、虫歯が歯の内部まで進行しているため、以下の治療が必要になります。

詰め物

小さな虫歯であれば、削った部分に詰め物をして修復します。詰め物は金属やセラミック製であり、硬い材質で歯の噛む力に耐えられるものが使用されます。痛みが出ている場合は虫歯が深く大きくひろがっている可能性が高いため、詰め物での治療は難しいかもしれません。

被せ物

虫歯が大きくなり、歯の大部分を失っている場合には、歯全体を覆う被せ物が用いられます。被せ物は歯を保護し、噛む力に耐えられる強度を持っています。被せ物の材質には保険の銀歯や自由診療のセラミックなどがあります。

根管治療(神経を抜く)

虫歯が神経にまで達した場合、痛みが強くなるため、歯の神経を除去する根管治療が必要です。根管治療では、歯の内部にある感染した神経や組織をきれいに取り除き、根の部分を消毒・封鎖します。その後、被せ物を被せることが一般的です。

2. 歯周病治療

歯周病が原因で歯が痛む場合、治療の主な目的は歯垢や歯石の除去です。歯周病の進行度によって治療方法が異なります。

スケーリングとルートプレーニング

歯垢や歯石が原因となっている場合は、スケーリング(歯の表面の歯石除去)とルートプレーニング(歯の根の表面を滑らかにする処置)によって、歯茎を健康な状態に戻します。

歯周外科手術

歯周病が進行して歯茎や骨が大きく損傷している場合、歯周外科手術が必要になることがあります。外科手術では、歯茎を切開して深部の歯垢や歯石を除去し、骨や組織の再生を促す処置が行われます。

3. 歯にひびが入っている場合の治療

歯にひびが入っている場合、亀裂の深さや広がりによって治療法が異なります。

接着修復

亀裂が浅い場合、専用の接着剤を使って歯の亀裂を修復する方法があります。しかし痛みが出ている場合は、ひびが深くなっていることが考えられますので、接着での治療は難しいかもしれません。

被せ物

ひびが深い場合は、歯全体を保護する被せ物を装着して修復します。被せ物により、亀裂部分への負荷が分散され、噛む際の痛みが軽減されます。被せ物をする前に神経を抜く治療が必要になる場合が多いです。

抜歯

亀裂が歯の根にまで到達している場合、歯の保存が難しいこともあり、その場合には抜歯が選択されることがあります。抜歯後はインプラントやブリッジによる歯の補填が必要になります。

4. 詰め物や被せ物の交換

詰め物や被せ物が劣化している場合、それが原因で痛みが生じることがあります。この場合、以下の治療が行われます。

新しい詰め物に変更する

詰め物が外れたり劣化している場合は、新しい詰め物を設置します。詰め物の材質には、コンポジットレジンやセラミックが一般的に使用されます。コンポジットレジンはあまり耐久性がありませんが、セラミックの場合は長期的な耐久性があります。

新しい被せ物に変更する

被せ物が合わなくなったり、歯との間に隙間ができている場合は、新しい被せ物を製作して装着します。クラウンが歯にフィットすることにより、噛むときの違和感や痛みが改善されます。

5. 顎関節症の治療

顎関節症が原因で噛むと痛みがある場合、顎の関節や筋肉に対するアプローチが必要です。顎関節症は、歯ぎしりやストレスが原因で起こることが多く、治療や症状の緩和には以下の方法が用いられます。

マウスピースの使用

歯ぎしりや食いしばりが原因の場合、夜間に装着するナイトガードと呼ばれるマウスピースが処方されることがあります。これにより、歯や顎への負担が軽減され、噛む際の痛みも改善されます。

理学療法

顎関節の筋肉をほぐすために、温熱療法やマッサージ、ストレッチが行われることがあります。

噛み合わせの調整

噛み合わせに問題がある場合、歯を少し削って咬合を調整する場合もあります。噛み合わせが正しくなることで、顎への負担が軽減されます。

噛むと歯が痛む場合、原因に合わせた治療を受けることで、痛みを軽減し、日常生活の快適さを取り戻すことができます。それぞれの治療法は、患者さんの症状や歯の状態に応じて選択されるため、適切な診断を受けることが重要です。

治療後のケアと予防策

治療が終わった後も、適切なケアを行うことが重要です。治療後のケアとして、以下の点を心がけましょう。

  • 定期的な歯磨き・・歯垢を溜めないために、正しい歯磨き方法を習慣化することが大切です。
  • 歯間ブラシやフロスの活用・・歯と歯の間の歯垢を取り除くために、歯間ブラシやフロスを使用する習慣を持ちましょう。
  • 食事の改善・・糖分を多く含む食品を控え、バランスの取れた食生活を心がけることも予防につながります。
  • ストレス管理・・歯ぎしりや食いしばりの原因となるストレスを軽減するために、リラックス法を取り入れることも効果的です。

健診の重要性と定期的な歯のケア

治療後の再発を防ぐためには、定期的な歯科健診が欠かせません。3ヶ月~6ヶ月に一度のペースで健診を受け、口腔内の状態を確認してもらうことが理想です。※健診の頻度は患者さんのお口の状態によって決まります。

  • 歯周病の再発防止・・歯垢や歯石が再びたまらないように、定期的に歯科衛生士によるクリーニングが必要です。
  • 詰め物や被せ物のメンテナンス・・詰め物や被せ物が長期間もつように、健診で状態を確認してもらいましょう。

噛むと歯が痛む症状は、日々のケアと早めの治療で改善できることが多いです。歯が痛む原因を特定し、適切な治療を受けることで、痛みから解放され、健康な口腔状態を保つことができます。

まとめ

噛むと歯が痛む場合、早めの診察と治療が重要です。痛みの原因としては、虫歯や歯周病、歯のひびなどが考えられますが、適切な治療を受けることで痛みの改善が期待できます。

また、治療後も定期的な健診を受け、毎日の歯磨きを怠らないことが再発防止に繋がります。歯が痛む症状を放置せず、早めに対処することで、健康な歯を保つことができ、食事や日常生活を快適に過ごすことに繋がります。

この記事の監修者
医療法人真摯会 茨木クローバー歯科
院長 脇田 悠仁

徳島大学 歯学部卒業卒業。日本口腔インプラント学会。日本成人矯正歯科学会。日本臨床歯科学会(大阪SJCD) 学術委員・査読委員 兼任。日本臨床CADCAM学会。

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茨木クローバー歯科・矯正歯科

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