学校の部活などのスポーツ中に事故で歯や口に怪我をすることがあります。激しくぶつかって歯が欠ける・折れる・抜けるなどの怪我をした場合の処置についてご説明します。
目次
スポーツ中に歯や口を怪我するリスク
スポーツは健康や体力を向上させる素晴らしい活動ですが、一方で予期せぬ事故によって歯や口に怪我を負うリスクもあります。特にコンタクトスポーツや球技、格闘技などでは、歯や口に衝撃が加わりやすい場面が多々あります。
- ラグビーやサッカー・・激しい接触プレーで口元に衝撃が加わることがある。
- バスケットボール・・肘や膝が顔面に当たることで、歯や口に怪我を負うことがある。
- 野球やソフトボール・・ボールが顔に直撃することで歯が折れたり、口の中が切れたりする。
スポーツ中の事故は、油断や一瞬のミスで起こることが多いため、常に注意が必要です。
スポーツ中の歯や口の怪我の種類
スポーツによる口腔内の怪我には様々な種類があります。以下は代表的な怪我の例です。
- 歯が折れた場合・・衝撃で歯が欠けたり、ひびが入ることがあります。これにより歯の神経が露出し、強い痛みを感じることがあります。
- 歯が抜けた場合・・特に激しい衝撃を受けた際に、歯が完全に抜け落ちてしまうことがあります。この場合は迅速な対応が求められます。
- 口の中の切り傷や打撲・・唇や頬の内側、歯茎が裂けたり、打撲によって内出血が起きることがあります。これらの怪我も即時の対応が重要です。
スポーツ中の怪我を防ぐための対策
歯や口の怪我を未然に防ぐためには、適切な装備の使用が不可欠です。
- マウスガードの装着・・マウスガードは歯や顎を守るための最も効果的なツールです。特にコンタクトスポーツを行う際には必ず着用すべきです。
- ヘルメットやフェイスガード・・ラグビーや野球などの競技では、頭や顔を守るための防具を適切に使用することが大切です。これにより、歯や口への直接的な衝撃を避けることができます。
スポーツで歯や口に怪我をした時の応急処置
スポーツ中に不幸にも歯や口に怪我を負った場合、迅速かつ適切な応急処置が必要です。
歯が抜けた場合の対処法
抜けた歯を見つけたら、根元に触れずに持ち、できるだけ早く歯医者に持って行くことが大切です。
- 歯を軽く水で洗うが、強くこすらない。
- 歯を牛乳に浸けて保存するか、口の中で保管して歯医者に急ぎます。
口の中の切り傷や出血への対応
切り傷がある場合は、清潔なガーゼやタオルで傷口を抑え、止血を試みます。出血が止まらない場合や、傷が深い場合はすぐに医師の診察を受けることが必要です。
折れた歯の保管方法
歯が欠けたり折れた場合、その欠片を水で軽く洗い、可能であれば保存して歯医者に持って行きます。歯の破片を再接着することができる場合があります。
スポーツ中の事故で歯にひびが入った・欠けた・折れた
スポーツ中に歯やお口に傷を負った場合の応急処置についてご説明します。
ひびが入った場合
歯冠部にひびが入っているが欠けてはいない場合は、不完全破折と呼び、痛みがない場合はそのまま経過観察します。痛みがある場合は、歯を削って神経を取る治療をし、被せ物を被せる治療を行います。
歯が欠けた・折れた場合
歯が欠けた場合を完全破折と呼びます。歯が欠けても歯髄に到達していない場合は、歯を少し削って形を整えてからレジン(歯科用プラスチック)を直接詰めたり、ダイレクトボンディングといってレジンで歯を継ぎ足すように成形する方法で歯を修復出来ます。
歯が割れた部分が歯髄に到達している時は、歯を削って神経を取り、その後被せ物を作製して被せる処置が必要です。
歯の根が欠けた・折れた場合
欠けたり折れたりした部分が歯根である場合は、抜歯になる可能性があります。抜歯後はブリッジ、入れ歯、インプラントの中から治療方法を選んで治療を行います。
歯茎を強く打ったために脱臼している場合
脱臼の程度によっては、歯の治療の前に顎骨や歯の周囲の組織の治療を先に行う必要があります。出血が多い場合もあるため、速やかに口腔外科で検査・治療を行います。
部活などのスポーツでぶつかって歯や口を怪我した
10代~20代の方が学校の部活などで競技中にぶつかった等の事故で、歯が折れたり歯根を傷めてしまうことがあります。お口の中でスポーツによる怪我を一番しやすいのは上顎の前歯で、前歯部分を打撲したり、歯が折れてしまったり、ぐらついたり、抜けてしまうこともあります。
前歯は人から見えて目立つため、ご本人もご両親も早く治したいとの思いが強いです。歯を失ってしまった場合は、患者さんがまだ若いため、インプラントを希望されるケースが多いです。
スポーツ用マウスガードについて
スポーツによる口や歯の外傷を防ぐためには、スポーツ用のマウスガード(マウスピース)をつけるという方法があります。上顎に装着する場合が多く、上の歯を守るために柔らかい素材でU字型になっているマウスピースを、スポーツを行っている間に装着します。
スポーツ用マウスガードをつけることのメリット
- マウスガードがクッションになって歯をスポーツの怪我から守る
- 力を入れて噛んだ時の歯の負担を軽減させる
- しっかりと噛みしめてスポーツで力を発揮できる
- 顎骨に加わる力によるダメージを緩和する
スポーツ用のマウスガードについては歯科医院にお尋ねください。
スポーツで歯や口を怪我した時のQ&A
出血が多い場合や多数の歯が折れた・抜けた場合は救急車を呼び口腔外科に搬送する必要があります。出血が少なく1〜2本の歯が折れた場合は、歯を保存液か牛乳に浸して学校歯科医に連絡し、早めに受診する必要があります。
歯冠部にひびが入っているが欠けていない場合は、痛みがない場合は経過観察します。痛みがある場合は、歯を削って神経を取る治療をし、被せ物を被せる治療を行います。
歯が欠けても歯髄に到達していない場合は、歯を少し削って形を整え、レジン(歯科用プラスチック)を詰めたり、ダイレクトボンディングといって歯を継ぎ足す方法で修復できます。歯髄に到達している場合は、神経を取り除き、被せ物を作製して被せる処置が必要です。
まとめ
スポーツで歯が折れたり抜けたりした場合、出血が多い場合や多数の歯が折れた場合は救急車を呼んで口腔外科に搬送しましょう。出血が少なく1〜2本の歯が折れた場合は、歯を保存液か牛乳に浸して学校歯科医に連絡し、早めに受診する必要があります。
歯にひびが入った場合は経過観察し、痛みがある場合は治療を行います。歯が欠けた場合はレジンで修復することができますが、歯髄に到達している場合は神経を取り除いて修復が必要です。
歯根が欠けた場合は抜歯が必要な場合もあります。脱臼した場合は組織の治療が先行することもあります。スポーツ用マウスガードを装着することで口や歯の外傷を防ぎ、歯を守ることができます。マウスガードの利点と詳細については歯科医院に相談してください。