子供の歯の生え方や生える時期は、一人ひとり違っており、近年では個人差が広がっているともいわれます。乳歯の平均的な生え方や本数などについてご説明します。
目次
乳歯の役割と重要性
乳歯は生後6か月から3歳頃までに生え揃う、子供の最初の歯です。乳歯の本数は通常20本あり、将来的な永久歯のための基礎となります。乳歯は単なる「一時的な歯」ではなく、咀嚼機能を助け、正しい言葉の発音を促し、顎の発達にも寄与します。また、乳歯は永久歯の正しい位置を確保する重要な役割を果たしており、乳歯が早期に失われると、永久歯がずれたり重なったりするリスクがあります。
乳歯の役割の要点
- 咀嚼を助け、栄養の摂取をサポート
- 正しい発音の促進
- 顎の成長をサポート
- 永久歯の位置を確保
乳歯はいつ頃生えてきてどんな風に呼ばれるの?
1.まず下の前歯から生え始める
赤ちゃんに最初に生えてくる乳歯は、下顎乳中切歯(にゅうちゅうせっし)と呼ばれる下の前歯で、生後7~9ヶ月に生えてきます。男の子の方が女の子よりも歯が早く生えてくる傾向があります。しかし個人差があるため、あまり気にしなくても大丈夫です。
次に生えてくるのは下顎乳中切歯の隣の乳側切歯(にゅうそくせっし)や、上顎の前歯です。
2.1歳頃に上下8本の歯が生え揃う
1歳~1歳半頃までに上の前歯2本と上下前歯の隣の歯(乳側切歯)4本が生えることが多く、これらが生え揃うと、上の歯と下の歯で合計8本の歯が生えています。
赤ちゃんによっては、歯の生えてくる時期が平均よりも2ヶ月程差があることもありますが、心配しなくても大丈夫です。
3.1歳半頃に奥歯4本(第一乳臼歯)が生える
1歳半頃になると、第一乳臼歯と呼ばれる奥歯が生えてきて、全部で14本の乳歯になります。奥歯が生えると、しっかり噛めるようになりますので、離乳食から普通の食事に移行していく期間になります。
4.2歳頃に犬歯4本(乳犬歯)が生える
2歳頃になると乳犬歯が4本生えてきて、食べ物にかぶりついて引き裂いて、様々な食べ物を食べることが出来るようになります。乳歯の合計は16本になります。
5.2歳半頃に奥歯4本(第二乳臼歯)が生え揃う
最後に生えるのが第二乳臼歯で、合計20本の乳歯が全て生え揃います。乳歯は殆どの場合、前から順番に生えるのが特徴です。
乳歯の呼び方(よみがな)
- 乳中切歯(にゅうちゅうせっし)
- 乳側切歯(にゅうそくせっし)
- 乳犬歯(にゅうけんし)
- 第一乳臼歯(だいいちにゅうきゅうし)
- 第二乳臼歯(だいににゅうきゅうし)
乳歯が生え始める時のサインと対処法
乳歯が生え始めると、赤ちゃんは様々なサインを見せることがあります。よだれが増える、歯茎をかむような動作をする、機嫌が悪くなる、食欲が低下するなどが代表的な症状です。
乳歯が生える時に見られるサイン
- よだれが増える
- 歯茎をかむ動作を頻繁に行う
- 不機嫌になる
- 食欲の低下
これらの症状は、歯茎から乳歯が出てくる際の不快感からくるもので、多くの場合は一時的です。歯茎が腫れたり痛んだりする場合、冷たいガーゼや専用の歯固めを与えることで、痛みを和らげることができます。また、赤ちゃんが落ち着く環境を整え、たくさんの愛情と安心感を与えることも大切です。
乳歯の生え方に異常がある場合の対応
乳歯の生え方に関しては、個人差が大きいため、心配する必要はあまりありませんが、いくつかの注意点もあります。例えば、生後1年を過ぎてもまったく歯が生えてこない場合や、乳歯が異常な方向に生えている場合は、歯科医に相談することが推奨されます。
乳歯の生え方に異常がある場合の注意点
- 1歳を過ぎても歯が生えてこない
- 歯の位置が極端にずれている
- 歯が重なって生えている
このような場合は早めに歯科医に診てもらい相談しましょう。早期の治療によって、将来の永久歯への影響を最小限に抑えることができるため、定期的な歯科健診を受けることが大切です。
乳歯は全部で何本あるの?
乳歯は全部生え揃うと20本あります。2歳半くらいまでに生え揃うことが多いのですが、子供の成長は一人ひとり違いますので、あくまでも目安だとお考え下さい。
中には先天的に歯が数本足りなかったり、歯が顎の骨の中に埋まったままで歯ぐきの上に出てこない場合もあります。逆に過剰歯という、歯の本数が多すぎる場合もあります。
歯の生える順番や時期が違っている時はどうする?
前歯よりも先に横の歯が生えてきた
赤ちゃんに最初に生える歯は前歯だと思っていたのに、その隣の歯が先に生えてきた場合、パパママは心配になってしまうと思います。しかし歯の生え方は個人差が大きいため、乳歯が順番通り生えてこなくても心配いらないことが多いです。
前歯よりも奥歯が先に生えてきた
乳歯は普通、前歯から奥歯の順に生えてきます。前歯よりも奥歯が先に生えてきた場合は、順番がかなり違うため、念のため歯科医院で診てもらうようにしましょう。
生まれた時に既に歯が生えていた
生まれた時から生えている乳歯のことを先天性歯(せんてんせいし)といいます。先天性歯として生えている乳歯は、下の前歯であることが多いです。
先天性歯は通常よりも7~9ヶ月も早く生えてきているため、歯の質が弱いことが多く、永久歯への生えかわりよりも前に抜けてしまうことがあります。
また、授乳の時に当たってお母さんが痛がることもありますので、時々歯医者で診てもらうようにしましょう。
先天性歯の子供は1000人に1人か2人くらいの割合でみられます。 下顎の前歯(乳中切歯部)に1本~2本生えている場合が多いです。歯肉炎などの異常が起こっている場合は歯科医院にご相談下さい。
乳歯ケアのポイント
- 生え始めたらすぐに歯磨きを始める
- 柔らかいガーゼやシリコンブラシで優しく拭き取る
- 1歳頃からは子供用歯ブラシを使用
- 定期的な健診で虫歯を予防
定期的な歯科健診も、乳歯の健康を保つために非常に重要です。虫歯の予防はもちろん、乳歯の生え方や成長をチェックし、必要な治療を早期に行うことが、将来の歯の健康にもつながります。
乳歯の生え方に関するQ&A
乳歯は生後7~9ヶ月頃に生え始めます。特に、最初に生えてくるのは下顎乳中切歯と呼ばれる下の前歯です。
男の子の方が女の子よりも乳歯が早く生えてくる傾向があります。ただし、これは個人差が大きいため絶対ではありません。
乳歯が順番通りに生えない場合でも、個人差が大きいため大抵は心配いらないです。ただし、前歯よりも大きく順番が違う場合は、歯科医院で診てもらうことをおすすめします。
まとめ
赤ちゃんの乳歯の生え方や生える時期についてご説明しました。乳歯は永久歯と比べるとやわらかいため、虫歯になりやすく、虫歯の進行も早いという特徴があります。そのため、定期的に歯科を受診し、乳歯の生え方などもチェックしてもらいましょう。