初期の段階では自覚症状が少ないといわれる歯周病ですが、自分での見分け方はあるのでしょうか? どんな症状があれば歯周病が疑われるか、セルフチェックのやり方をご説明します。
目次
歯周病の初期症状を見逃さないためのポイント
歯周病は早期に発見することで治療がしやすくなる病気です。以下のような初期症状を見逃さないようにすることが大切です。
歯茎が赤く腫れている
歯茎が赤くなったり、腫れている場合は、歯周病の初期段階かもしれません。健康な歯茎はピンク色で、腫れていません。
歯茎から出血する
歯磨きや食事中に歯茎から出血する場合も、歯周病の兆候です。特に、歯磨き時に出血が頻繁に起こる場合は注意が必要です。
歯茎が下がっている
歯周病が進行すると、歯茎が後退して歯が長く見えるようになります。これは、歯を支える組織が弱ってきているサインです。
歯周病のセルフチェックのやり方
お口全体、歯茎、歯等、それぞれについて状態をチェックしましょう。
お口全体について
1.自分の口臭が気になる
2.人から口臭を指摘されたことがある
3.朝起きたら口の中がネバネバする感じ
4.歯みがき後に歯ブラシの毛先に血がついている
5.歯みがき後に口をすすいだ水に血が混じっている
歯ぐき(歯肉)の状態について
6.歯茎が赤く腫れている
7.歯茎が下がって、以前よりも歯が長くなったように見える
8.歯茎がぶよぶよしている
9.歯茎を押すと血や膿が出ることがある
歯の状態について
10.歯と歯の間に食べ物が良く詰まる
11.歯が浮いたような感覚がある
12.最近歯並びが変わってきたような気がする
13.歯が揺れている
セルフチェックの結果は?
チェックが1~5個の場合
歯ぐきに炎症が起こっており、軽度の歯周病の可能性があります。軽度の場合は歯みがきを徹底することで症状が改善します。
チェックが6~8個以上の場合
中等度以上の歯周病にかかっている可能性があります。なるべく早く歯周病の治療を受け、歯周組織の破壊を止めましょう。
チェックがない場合
チェックがない場合でも、症状に気づいていないだけの場合がありますので、1年に1回は歯科で定期健診を受けましょう。
歯肉炎と歯周病って見分けられる?
歯肉炎も歯周病の症状ですが、歯周病の進行度の違いがあり、症状も違います。
歯周病の進行度の違い
歯肉炎は症状が歯茎だけの炎症で、ごく初期の歯周病の状態です。歯周炎は炎症が歯茎だけにとどまらず、歯槽骨や歯根膜にまで及んでいる状態をいいます。
歯肉炎と歯周病の症状は?
歯肉炎の症状は、主に歯茎の腫れです。歯茎に炎症が起こっていますので、歯磨きで歯ぐきから血が出ることもあります。
炎症がもう少し激しくなると、歯周病になります。歯茎がぶよぶよして、歯茎から膿が出るようになると、歯周病がかなり進んできています。歯がグラグラし始める前に、急いで治療を受ける必要があります。
歯肉炎と歯周病の歯周ポケットの深さは?
歯と歯茎の間の隙間が深くなると、歯周ポケットと呼ばれます。健康な人の歯周ポケットの深さは2ミリ未満です。2ミリ~3ミリ程度は歯肉炎で、この段階であれば、歯磨きを丁寧に行うことで完治させることが出来ます。
歯周ポケットが3~4ミリになると、軽度歯周病と呼ばれ、4~6ミリで中度歯周病、6ミリ以上になると重度歯周病です。
歯周ポケットは、定期健診の際に、歯科衛生士がプローブという器具を使って歯1本1本の歯周ポケットを手で測っていきます。その時に、歯茎からの出血の有無や歯の動揺(ぐらつき)をチェックします。
進行した歯周病の症状に注意
歯周病が進行すると、症状がより深刻になります。以下のような症状が現れた場合は、すぐに歯科医を受診することが重要です。
口臭が強くなる
歯周病の進行により、歯と歯茎の間に歯垢や食べ物のカスが溜まりやすくなり、口臭が強くなることがあります。
歯が揺れる
歯周病が進行すると、歯を支える骨が減少し、歯がぐらつくことがあります。これは、歯を失うリスクが高まっている状態です。
膿が出る
歯と歯茎の間から膿が出ることも、重度の歯周病の兆候です。この場合、炎症が進行しており、即時の治療が必要です。
歯周病にかかると進行度によってこんな症状が出る
1.健康な人の歯茎
歯ぐきは通常、健康的なピンク色をしています。
そして、歯と歯の間にはキュッと引き締まったきれいな
三角形(歯間乳頭)が見えます。
2.歯肉炎の人の歯茎
歯周病はここから始まります。歯ぐきが、口腔内の歯垢汚れによる細菌感染から炎症を起こ
して赤く腫れます。歯磨き中に軽い出血が生じることもありますが、ほとんど
痛みなどもないため、「まあ、大丈夫だろう」と放置する人がかなり多いです。
この程度なら、まだ元の健康な状態に戻すこと可能ですので、一度歯科医院で診てもらいましょう。
3.歯周炎の人の歯茎
中度の歯周病です。歯肉炎は炎症が歯ぐきのみですが、歯周炎の場合は、歯ぐきの
下にある歯を支えている顎の骨にまで、炎症が進行している状態です。
歯ぐきが下がり、歯が長くなったように見えたり、出血だけではなく、冷たいものがしみる・歯が揺れる・化膿・口臭などの自覚症状が現れます。外科的治療が必要になることもあります。
4.重度歯周病の人の歯茎
歯を支えている骨がほとんど汚染され、歯を支えられなくなると、歯は自然に抜け落ちてしまいます。一度歯周病によって溶けてなくなってしまった骨や歯ぐきは元通りには再生しません。そのため、歯周病が進行する前の予防・治療が大切です。
セルフチェックの重要性
歯周病の早期発見には、日々のセルフチェックが欠かせません。以下のポイントを定期的にチェックすることで、歯周病の兆候を早期に発見できる可能性があります。
歯磨き後の出血の有無
毎回の歯磨き後に歯茎から出血していないかを確認しましょう。
歯茎の色や形の変化
鏡を見ながら、歯茎の色や形に変化がないか観察しましょう。健康な歯茎はピンク色で、引き締まっています。
口臭の変化
自分で口臭を確認するのは難しいですが、違和感を感じた場合は早めに歯科医を受診することが勧められます。
歯科健診の重要性
自分でチェックするだけでは歯周病を完全に防ぐことは難しいため、定期的な歯科健診が重要です。歯科医が専用の器具を使って歯周ポケットの深さを測定し、歯周病の有無を確認することで、早期発見・早期治療が可能になります。
定期的なクリーニング
歯垢や歯石が溜まると歯周病が悪化するため、歯科健診とともに定期的なクリーニングも大切です。
歯周病の予防法
歯周病は予防できる病気でもあります。毎日の正しい歯磨きやデンタルフロスの使用、バランスの良い食生活などを心がけることで、歯周病を予防することができます。
適切なブラッシング
歯磨きは力を入れすぎず、優しく行いましょう。歯と歯茎の境目を丁寧に磨くことが大切です。
デンタルフロスや歯間ブラシの使用
歯と歯の間に歯垢が溜まりやすいため、デンタルフロスや歯間ブラシを使って隅々までケアしましょう。
歯周病にかかっているか見分ける方法に関するQ&A
歯周病のセルフチェックは、以下の項目をチェックします。
1. 口臭が気になることがあるか
2. 口臭を指摘されたことがあるか
3. 朝起きた時に口の中がネバネバする感じがあるか
4. 歯みがき後に歯ブラシの毛先に血がついているか
5. 歯みがき後にすすいだ水に血が混じっているか
これらの項目を自己チェックすることで、歯周病の可能性を把握することができます。
歯周ポケットの深さは歯肉炎や歯周病の進行度を示す指標の一つです。
健康な人の歯周ポケットの深さは通常2ミリ未満です。2ミリ~3ミリ程度のポケットは歯肉炎であり、丁寧な歯磨きで改善できる場合があります。
3ミリ以上のポケットは軽度から重度の歯周病を示すものであり、早めの治療が必要です。
まとめ
歯周病は国民病ともいわれ、日本人の30歳以上の成人の約80%がかかっているといわれています。初期の歯肉炎の場合は自覚症状が少ないために見逃されがちで、歯医者の定期健診で指摘されて気づくケースが多いです。定期健診通っている方は、その際に診断されますが、定期健診に暫く通っていない方は、まずセルフチェックで歯周病にかかっているかどうか調べてみましょう。少しでも気になることがあったら、早めに定期健診を受診しましょう。