顎関節症の原因については様々な説がありますが、歯の噛み合わせが何らかの要因によってずれてしまい,下あごが不均等に動いて顎関節に負担をかけ続けている状態にあるということが多くの原因として考えられます。
顎関節症が起こりやすくなる様々なケース
1.下顎が左右のどちらかにずれている
下顎が左右どちらかにずれてしまうと顎関節に負担がかかって顎関節症を発症することがあります。この状態は奥歯を噛んだ状態でお口をイーとして鏡で見ると、下あごがずれているのがわかります。
この時に注目するのは、上の歯の真ん中の線と下の歯の真ん中の線(正中線といいます)がまっすぐであれば、下あごはずれていない状態です。しかし下あごの正中線がどちらかにずれていると、顎がずれている可能性が高いと考えられます。
2.上下の噛み合わせが低くなっている
上下の噛み合わせが全体的に低くなると、下顎が後ろにずれてしまって顎関節に負担がかかり、顎関節症になることがあります。この状態も自分で確認できます。
奥歯を噛んで鏡を見ると、下の歯に上の歯が被さって、下の歯の2/3程度しか見えません。この時に、下の歯がほとんど見えない状態になっていると、噛み合わせが低くなって下顎が後ろにずれている状態であると考えられます。
3.歯並びが悪いために噛み合わせが悪くなっている
歯並びの関係で、噛み合わせがうまく噛みあっていないために、顎関節に負担がかかって顎関節症になることがあります。
上下の犬歯(糸切り歯)が八重歯になっているなど、不適切な位置に生えている場合は顎関節症になりやすいです。
4.歯ぎしり・食いしばりなどの噛み合わせに関する癖
歯ぎしり・食いしばりはストレスや不安が原因で無意識のうちに行うことが多く、これが顎関節に過剰な圧力をかけ、顎関節症を引き起こすことがあります。何かに熱中したり、集中や緊張時に強く食いしばる癖も、顎関節症を引き起こすことがあります。
5.猫背や頬杖などの全身的な姿勢
頬杖、うつぶせ寝、猫背など。
6.精神的なストレス
精神的ストレスは筋肉の緊張を引き起こし、これが顎関節に影響を与えることがあります。また、ストレスが原因で無意識のうちに食いしばったり、歯ぎしりをしたりすることもあります。
7.入れ歯や被せ物が合っていない
入れ歯や被せ物が合っていないために悪い噛み合わせになって、顎関節に負担がかかる。
8.顎の酷使
硬いものを噛んだり、口を大きく開けて喋ったり歌ったりした。
9.片方の歯でばかり噛む癖
偏った内容の食事や硬いものを常に一方の歯で噛む習慣などが、顎関節に負担をかけて顎関節症を起こすことがあります。
10. 関節リウマチや炎症
これらの病気が顎関節に影響を及ぼすことがあります。特に関節リウマチは、関節の炎症を引き起こす病気で、顎関節にも影響を及ぼすことがあります。
11. 外傷
顔面や顎に強い衝撃を受けたことが原因で顎関節症が発生することがあります。例えば、交通事故やスポーツ中の怪我、誤って何かにぶつかった場合などがこれに該当します。
上記のケースはいずれも、顎関節や周囲の筋肉に異常な負担をかけ、顎の痛みやこわばり、開口障害、口を開け閉めする際の音(クリック音やポップ音)などの症状を引き起こすことがあります。
顎関節症の主な症状
- 顎関節が痛む
- 口を開くとカクカク鳴る
- 口が開けにくい
- 口を開くと耳の前あたりから音がする
上記の症状のうちの1つでも当てはまる場合は、顎関節症が疑われます。ただし、その定義は明確でなく、世界的に共通した診断基準は存在しません。
顎関節症は、顎の動きに異常が生じるだけでなく、頭痛や肩こりなどの症状が現れることもあります。症状は全身に及ぶこともあるため、気になる場合は早めの受診が大切です。
顎関節から音がするだけの場合は経過観察で問題ないとされる場合が多いです。しかし痛みがあったり、口が開けにくかったりする場合は、食事がしにくい、噛みにくいなど問題が起こっている場合は、すぐに受診して顎がずれていないか、噛み合わせはどうかをチェックしましょう。
以下に、顎関節症の症状についてもう少し詳しくご説明します。
1. 顎関節からの雑音
口を開けたり閉めたりした際に、顎の関節から音がすることがあります。この音は「クリック音」や「ポップ音」とも呼ばれます。関節からの雑音は、軽度の顎関節症でも見られることがあります。
2. 開口障害・運動異常
口を開けにくい状態を指します。顎関節症の進行によって、口を大きく開けることが難しくなることがあります。また、口を閉じる際にも違和感を感じることがあります。
3. 顎の痛み
口を開けたり閉めたりした際に、顎の辺りや耳の前などに痛みを感じることがあります。痛みは軽度から激しいものまでさまざまです。
これらの症状がある場合は、歯科医や専門医に相談することが重要です。
まとめ
顎関節症は様々な原因で起こりますので、複数の原因が合わさって起こっていることが多く、少しずつ悪化していきます。また、顎関節症は、副次的に頭痛やめまいや肩こりなどを起こす場合もあります。それらは一般的に直接的な原因がわからず、不定愁訴として済まされていることも多い症状です。気になることがあれば、歯科医院でまず噛み合わせや歯の状態をチェックしてみましょう。