「お口ポカン」という言葉をご存知ですか? いつもお口が空いている状態のことで、近年この症状を持つ子供が増えています。お口ポカンの子どもは口呼吸をしているという特徴があり、いびき、アレルギーなどの症状が出ることや、歯並びが悪くなる可能性が指摘されています。
目次
子どものお口ポカンは要注意
今、多くの子どもたちが口をポカーンと開けて口呼吸になっています。治療中のお母さんの横で座っている子どもの口を見ると10人中8人くらいの口が「ポカン」と開いています。
口を閉じるように言うと、子どもたちは一旦口を閉じますが、1分もしないうちにまた口が開いています。つまり、日常的に口が開いた状態になっているのです。
いつも口が開いているお口ポカンの状態は口唇閉鎖不全症(こうしんへいさふぜんしょう)と呼ばれ、食べる、話すなどの口の機能が十分に発達していない「口腔機能発達不全症」という病気の症状の一つとされています。
口をポカンと開けていると、まず舌や唇のバランスが崩れて歯がゆがみ始めます。上下の前歯の間に隙間に隙間ができたり、出っ歯やガタガタな歯並びになりやすいのです。
お口ポカンによる歯並びへの影響
顎の発達不良
子どもが長期間「お口ポカン」の状態を続けると、上顎や下顎の発達に影響を与えます。口が常に開いた状態では、舌が正しい位置(上顎の内側)に収まらず、顎の成長が制限されてしまいます。その結果、狭い顎が原因で歯が十分に並びきらず、歯並びが乱れることがあります。
前歯の開咬
お口ポカンの状態では、前歯が正しく噛み合わず、開咬(前歯が閉じない状態)を引き起こすリスクがあります。これは、口を開けたままの習慣が長く続くことで、前歯にかかる圧力が弱まり、正常な発育が妨げられるためです。
お口ポカンの原因
鼻詰まりやアレルギー
鼻で呼吸できないことが原因でお口ポカンの状態が続く場合があります。特に、慢性的な鼻炎やアレルギーによる鼻詰まりが原因の場合、子どもは自然に口呼吸に頼りがちになります。鼻詰まりが原因の場合、耳鼻科での診察やアレルギー治療が必要です。
口の周りの筋力の低下
お口ポカンが続く原因の一つには、口の周りの筋力が弱いことが挙げられます。唇や頬の筋肉が発達していないと、口を閉じる力が不足し、自然と口が開いてしまうことがあります。
子供が口呼吸になっていないかのチェック
口呼吸は子どもたちの成長に大きな悪影響を及ぼすことがわかっています。ぜひチェックしていただきたいのは、子供が食事をする時に口を開けたままで噛んでいないかということです。これは口呼吸の子の特徴の一つです。
鼻で呼吸が出来る子は、ものを食べるときに唇を閉じて噛みます。子供が口呼吸になっていないか、お食事の際に観察してみてください。
もし噛んでいる時に唇が開く場合は、鼻呼吸が出来ていないか、または出来にくい状態になっていることが考えられます。口呼吸を鼻呼吸になおすための様々な方法がありますので、ご心配には及びません。子どもの間でしたら、癖を直すのはそう大変なことではありません。
子どもの歯並びが悪くなる遺伝以外の原因は口呼吸
これまで出っ歯や受け口などの不正咬合の大部分は遺伝だといわれていましたが、子どもの生活習慣によるお口周辺の筋肉(舌、唇、頬)や骨などの発育不全などが原因だということがわかってきました。
口呼吸になっている子供は鼻呼吸と比べると息が浅くなっています。吸い込む空気の量が少ないので血液中の酸素濃度が低下し、その影響で子どもたちの身体全体も不健康になる傾向があり、呼吸と歯並びと身体の健康は密接に関係しています。
では、どうすれば子どもたちの舌や唇や頬を正しく発育させることが出来るのでしょうか? それには、子どもたちの姿勢や呼吸や口の周りの筋肉のトレーニングを行うことが有効であるとされ、舌や唇などを動かすための「お口のトレーニング」を取り入れている小児歯科が増えています。
子どものお口ポカンの歯並びへの影響に関するQ&A
「お口ポカン」の状態は舌や唇のバランスを崩し、歯がゆがみ、隙間が生じ、出っ歯やガタガタの歯並びになる可能性があります。
口呼吸を鼻呼吸に修正するための様々な方法があり、子どもの間であれば、癖を直すことは大変なことではありません。
口呼吸すると、吸い込む空気量が少なく、血液中の酸素濃度が低下し、全体的な健康状態に影響を及ぼす可能性があります。
まとめ
お口ポカン、口呼吸を治すためのお口のトレーニングで子供の舌や唇の正しい発育を促した結果、「歯を削らない」「歯を抜かない」だけではなく、歯並びや身体全体の健康も改善されていきます。子供がお口ポカンをしていないかどうか、ぜひ気をつけて観察してみてください。