歯周病

歯茎からの出血は歯周病?

歯茎からの出血は歯周病?

茨木クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 脇田 悠仁

歯茎からの出血は、歯周病の初期症状の一つです。しかし、歯茎からの出血の原因は他にもあり得るため、原因を特定し、適切な対処をすることが重要です。歯茎からの出血の主な原因と対策についてご説明します。

歯茎から出血するのは歯周病?

食べ物を噛む時、もしくは歯ブラシで歯磨きを行っている時、急に歯茎から出血が起きてしまうと、お口の中にトラブルを抱えている可能性があります。通常ならば歯磨きや食べ物が当たる程度で出血はしませんが、歯周組織に何か炎症が起きていた場合、僅かな刺激で部分的に血が出ます。

歯茎からの出血の主な原因

歯周病(歯肉炎・歯周炎)

  • 歯肉炎・・歯と歯茎の間に歯垢が溜まることで炎症が起き、出血することがあります。早期に治療すれば改善することが可能です。
  • 歯周炎・・炎症が進行して歯を支える骨にまで影響が及ぶと、歯周炎になります。この場合、歯茎からの出血はさらに頻繁に起こります。

不適切な方法での歯磨き

  • 強い力で歯磨きをしすぎたり、硬い歯ブラシの使用は、歯茎を傷つけて出血の原因になります。

ビタミンC不足

  • ビタミンCは、健康な歯茎を保つために重要です。不足すると歯茎が弱くなり、出血しやすくなります。

ホルモンバランスの変化

  • 妊娠中や思春期、更年期などホルモンバランスが変化する時期には、歯茎が敏感になり、出血しやすくなることがあります。

薬の副作用

  • 血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)や一部の降圧薬などは、副作用として歯茎からの出血を引き起こすことがあります。

その他の健康状態

  • 糖尿病などの全身的な健康状態も歯茎からの出血に影響を与えることがあります。

歯周病とは

歯周病の進行

歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)へ細菌が侵入して感染し、歯茎が炎症を起こします。初期の症状が歯肉炎で、進行すると歯周病になります。歯周病は初期の段階では自覚症状が少なく、痛みがないまま歯肉が赤く腫れる状態で進行し、気づいたら歯がぐらぐらしていたり、抜けてしまったという方もいらっしゃいます。

歯周病が進行して歯が抜ける、または抜歯になってしまうと、食事で噛むことが出来なくなります。歯を失った場合は、歯周病の治療をきちんと行ったうえで、入れ歯・ブリッジ・インプラントなどの治療を行う必要があります。

歯周病にならない人の方が少ない?

成人のおよそ8割が歯周病の予備軍であると言われています。

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年代別で確認しますと、30代から60代の方のおおよそ半数以上が歯周病にかかっています。歯周病は年齢とともに進行していき、70代になると歯を喪失してしまう方が増えています。

このことからもわかる通り、歯を失う原因で一番多い原因が、歯周病です。その次に虫歯、歯の破折という順番です。

歯茎から出血したらどうすればいい?

歯茎から大量に出血した場合は、何らかの外傷により歯ぐきを傷つけています。また、血液関係の疾患がある方、もしくは薬を服用している方は、無理やり患者様ご自身で磨くと悪化する可能性があります。すぐにクリニックへ通院し、ドクターの処置を受けましょう。

それほど多くない出血の場合は、出血が気になるとは思いますが、歯磨きを続けて歯科医院を早めに受診しましょう。歯周病ではなく、歯ブラシでの磨き方が間違っている場合があります。正しい歯の磨き方を歯科衛生士に指導してもらうことが大切です。

出血が嫌で歯を磨かないと、歯垢や歯石、バイオフィルムが多くなり、口腔状態が悪化し、虫歯の原因にもなります。全身疾患へつながるリスクがあるので、お口は健康に保ちましょう。

歯や歯肉のセルフケアは、短い時間で強くこするのではなく、優しく丁寧に時間をかけてブラッシングをする方法がベストです。歯との境目の歯周ポケットから付着した汚れや歯垢を出すようにし、デンタルフロスや歯間ブラシは力を入れないようにしましょう。

歯茎からの出血への対策

1. 正しい方法で口腔ケアを行う

歯科衛生士の指導を受け、歯磨きを正しい方法で行うことが大切です。デンタルフロスや歯間ブラシの使用も有効です。

2. 定期的な歯科健診

定期的に歯科健診を受け、歯周病になっていないかチェックしてもらいましょう。歯科衛生士による専用の器械を使ってのクリーニングを受けると、歯磨きで取れなかった部分の歯垢や歯石をとることが出来ますので、歯周病の予防と早期発見が可能になります。

3. ビタミンCの摂取

バランスの取れた食事を心がけ、ビタミンCを十分に摂取するようにしましょう。

4. 歯周病の治療

歯周病が進行している場合は、スケーリングやルートプレーニングなどの専門的な治療が必要です。

5. 持病がある場合は薬を見直す

歯茎からの出血が薬の副作用によるものである場合、かかりつけ医と相談して薬の調整を検討する必要があります。

歯茎からの出血が続く場合や、痛みや腫れを伴う場合は、早めに歯科医院を受診して原因を特定し、適切な治療を受けることが重要です。

歯茎からの出血と歯周病に関するQ&A

歯茎からの出血は常に歯周病を意味しますか?

歯茎からの出血は歯周病の兆候の一つですが、必ずしも歯周病を意味するわけではありません。歯磨きの際に歯茎を傷つけたり、歯ブラシの硬さや磨き方が原因で出血することもあります。しかし、頻繁に出血が起きる場合や他の歯周病の症状もある場合は、歯周病の可能性が高くなります。

歯茎からの出血が気になる場合、どうすれば良いですか?

歯茎からの出血が気になる場合は、歯科医院を受診しましょう。大量の出血や外傷が原因の場合は早急な処置が必要です。軽度の出血の場合でも、歯磨きの方法や歯ブラシの選び方に問題がある可能性があるため、歯科衛生士に相談して正しいケア方法を学ぶことが重要です。

まとめ

歯のキャラクター

タバコを吸っている方は、歯周病でも歯茎から出血しない場合があり、歯茎から突然白い膿が出て、口臭も強くなり、重度の歯周病になっていると自覚されます。そのため、ご自身でのケア以外に、予防歯科という観点から定期的に歯医者さんを受診してクリーニングをし、お口を清潔に健康にを保つよう習慣づけましょう。また、噛み合わせや歯並び、歯や歯肉の色など、気になることがあれば歯科医師やスタッフへお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
医療法人真摯会 茨木クローバー歯科
院長 脇田 悠仁

徳島大学 歯学部卒業卒業。日本口腔インプラント学会。日本成人矯正歯科学会。日本臨床歯科学会(大阪SJCD) 学術委員・査読委員 兼任。日本臨床CADCAM学会。

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