歯と口のトラブル

歯医者には定期的に通った方がいいですか?

歯の治療には何回も通院が必要ですか?

茨木クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 脇田 悠仁

歯医者には痛いところなどがなくても定期的に通院した方が良いのでしょうか? 症状がない時には、なかなか歯医者に行く気が起こらないと思いますが、歯科の定期検診には虫歯や歯周病の予防という大切な役割がありますので、ご説明します。

定期的に歯医者に通っていただきたい理由

なぜ歯医者に定期的に通わなければならないのか。それは、歯の定期検診(クリーニング)を受けて、虫歯や歯周病などの病気の予防をして頂きたいからです。歯の治療に関しては、普段から年に数回の歯医者の定期検診に通っている方は、いざ治療が必要になった時でも、治療にあまり回数がかかりません。それは何故だと思われますか?

歯の初期の治療のほとんどは一回で終わるからです。虫歯の場合、虫歯の範囲が小さければ、虫歯だけを削り取ってレジン(歯科用プラスチック)で詰め物をすればすぐに治療が終わります。

しかし大きな虫歯になると、神経を取る治療のために何度も通院が必要になったり、歯型を取って被せ物を作り、日を改めてそれをセットする必要があります。更に、歯の根に炎症が起こっている時は、根管治療と呼ばれる歯の根っこの治療を行う必要があり、これも炎症がおさまって症状が和らぐまでの間は何回も通院が必要になります。

更に虫歯や歯周病が悪化している場合は、抜歯が必要になり、抜歯後の治療をどうするかということにも頭を悩ませることになります。もちろん治療費も多くかかります。

虫歯や歯周病が進行した状態で歯科医院を受診される方は、ほとんどの方が定期検診を受けておられません。状態が悪化してから歯医者へ行くために、治療が複雑になり、治療のための回数や時間や費用も多くかかってしまうのです。

1. 早期発見の重要性

定期的な歯科健診では、虫歯や歯周病の初期症状を見逃さずに発見することができます。特に、症状が出る前に問題を発見できるため、重症化する前に予防や早期治療を行うことができ、歯を守ることができます。

2. 歯石やプラークの除去

毎日の歯磨きでは、どうしても歯石やプラークを完全に除去することが難しいため、定期的な歯科クリーニングが推奨されます。歯石がたまると虫歯や歯周病のリスクが高まるため、定期的なクリーニングが有効です。

3. 歯の健康維持と予防

定期的に通うことで、歯の健康状態を維持し、将来的に大きな治療が必要になるリスクを減らすことができます。例えば、定期的なフッ素塗布や、子供の場合はシーラント(歯の溝を埋める処置)などの予防処置も行えます。

4. 全身の健康との関連性

口腔内の健康は全身の健康とも密接に関係しています。例えば、歯周病は糖尿病や心疾患、早産などとも関連があるとされています。歯医者に定期的に通うことで、これらの病気のリスクを低減することができます。

5. 噛み合わせや歯並びのチェック

歯並びや噛み合わせが悪いと、日常の噛む動作がしにくくなり、消化器系にも負担がかかる可能性があります。定期的に歯医者に通うことで、噛み合わせや歯並びのチェックも行い、必要な場合は矯正治療や咬合調整が提案されることがあります。

6. 口臭予防や美しい歯を保つために

定期的に歯医者に通うことは、口臭予防にも効果的です。また、歯のクリーニングやホワイトニングを定期的に行うことで、見た目の美しさを保つこともできます。

どうして普段からメンテナンスをして早めに治した方がいいのか?

虫歯も歯周病も、初期の段階で治した方が治療が少なくすみます。当然、初期の治療は治療期間も治療費も少なくすみます。

車に例えてみましょう。空気圧も計らず、オイルも交換せず、車検も通さず(実際は車検をしないと道路を走れません)、何万キロも走行して、いざ故障したときにどんな修理が必要でしょうか?

あちこちの部品が劣化・消耗し、タイヤは溝がなくなるほどすり減り、車体のフレームはへこんでいるかもしれません。修理には数カ月がかかり、修理費も高額になり、下手をすると修理不可能で、車を買い換えなければいけないかもしれません。

もし定期的に車のメンテナンスを受けていれば、痛みやすい部品はすぐに交換してもらえますし、メンテナンスをすることで故障せずにまだまだ走り続けられたかもしれません。毎回のメンテナンスの費用はかかりますが、高額な修理費を一度に請求されることはありません。つまり、車にとってのメンテナンスは、大変コスパが良いといえます。

車はもともと消耗品ですが、歯は体の一部で一生使っていくものなので、例えとしては完全にイコールではありませんが、例え話としてはわかりやすいのではないでしょうか。

定期的にメンテナンスをしていれば、何かあっても早い段階で対処できますが、普段のメンテナンスをせずに、酷使したあげくに故障して、「すぐに治して欲しい」「なるべく安い費用で修理してほしい」というのは、ご希望としては良く理解出来るのですが、行うには無理があるのが実際のところです。

定期的に歯医者に行かない方の理由

歯医者へ行くと何回も通院が必要と思っておられる方は、定期的に歯医者に通っておられない方がほとんどだと思います。そして「治療回数を少なくしてほしい」と希望される方も、よくおられます。

「仕事(または学校など)が忙しくて何度も歯医者に通えない」
「歯医者に通うのは面倒臭い」
とおっしゃる事情はよくわかります。

しかし、皆さんはおしゃれやエチケットのために定期的に美容院や床屋には行っておられるはずです。出来れば歯医者も同じか、または健康のことを考えると、それ以上だと思っていただきたいのです。

歯医者には定期的に通った方がいい?に関するQ&A

歯医者には定期的に通うべきですか?

症状がなくても、歯医者に定期的に通院することが重要です。定期検診は虫歯や歯周病の予防に役立ちます。

歯医者に定期健診に通わないとどんな問題が起こる可能性がありますか?

歯医者の定期健診に通わないと、虫歯や歯周病が進行し、治療が複雑化します。治療の回数や時間、費用が増える可能性があります。

歯医者に定期的に通うことのメリットは何ですか?

歯医者に定期的通うことで虫歯や歯周病の予防ができます。早期治療によって痛みや費用を抑えることができます。

まとめ

診察

早めの健診で初期の虫歯を発見出来ると、歯を削らずに済みます。そして定期的な歯垢や歯石の除去は歯周病を予防し、将来歯を失うことを防いでくれます。

3~4ヶ月に1度歯医者へ行って虫歯や歯周病の予防をするだけで、歯の寿命が格段に伸びますし、治療が必要になっても簡単な治療で済みます。一生の間に歯の治療にかかるトータルの医療費も少なくなりますので、痛みなどの症状がなくても定期健診を受けられるよう、お勧めします。

この記事の監修者
医療法人真摯会 茨木クローバー歯科
院長 脇田 悠仁

徳島大学 歯学部卒業卒業。日本口腔インプラント学会。日本成人矯正歯科学会。日本臨床歯科学会(大阪SJCD) 学術委員・査読委員 兼任。日本臨床CADCAM学会。

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