お子さんが寝ている時、可愛らしい寝息ではなく、耳障りな歯ぎしりが聞こえてくることがあると、歯は大丈夫なのか心配になると思います。歯ぎしりについて、原因や治療方法についてご説明します。
子供の歯ぎしりについて
子供の10人に2~3人が睡眠中に歯ぎしりや食いしばりをしているといわれます。歯ぎしりは、深い睡眠段階に入っている時や、子供がストレスを受けている時によく起こります。
大人の歯ぎしりは、ストレスや睡眠時無呼吸症候群などによって起こることが多いのですが、子供の歯ぎしりは病気が原因である可能性が少ないため、治療が必要になることはほとんどありません。しかし子供の歯ぎしりが長引く場合は、念のため歯科を受診しましょう。
子供の歯ぎしりの原因
歯ぎしりが起こっている理由は専門家であってもはっきりとはわかりません。乳歯から永久歯への生え変わりの期間中に、上下の歯が一時的にきちんと噛み合っていない場合に、歯やあごの位置を調整しようとして無意識のうちに歯ぎしりが起こることもあります。更に、乳歯が永久歯に生え変わる時期に、歯が生えるときの痛みへの対応として歯ぎしりが起こることもあります。
また、大人と同じく、神経の緊張や怒りなどによるストレスや悩みも歯ぎしりの原因になります。子供にとって学校でのテストや決められた行動が大きなストレスになって歯ぎしりという症状が出ているかもしれません。
親や兄弟と仲が悪いといったことも、歯ぎしりや食いしばりを起こすための十分なストレスになり得ます。また、脳性麻痺などの特定の薬を服用している子供が歯ぎしりを行うという例もあります。
また、歯ぎしりを自覚している方の50%が、家族の中に歯ぎしりをしている人がいると答えています。そのため、歯ぎしりには遺伝的要因も強く疑われるという研究結果が出ています。
子供の歯ぎしりが起こる主な原因
子供の歯ぎしりの原因にはいくつかの要因が考えられます。
成長痛や顎の発達
歯や顎が成長する過程で、歯の噛み合わせが変化し、それに伴って歯ぎしりが起こることがあります。
ストレスや不安
学校や家庭内でのストレスが原因で、無意識に歯ぎしりをしてしまう場合があります。特に、入学や転校といった大きな変化がきっかけになることがあります。
噛み合わせの不良
噛み合わせのずれや歯並びの悪さも歯ぎしりの原因となり得ます。
アレルギーや呼吸障害
アレルギーや慢性的な鼻詰まりがある場合、口呼吸をしてしまい、結果的に歯ぎしりを引き起こすことがあります。
歯ぎしりがもたらすリスクと影響
夜間の歯ぎしりや食いしばりによって、歯のエナメル質がすり減ったり、歯が欠けたりして、知覚過敏や顎関節症などの問題を引き起こす可能性があります。
しかし顎関節症に関しては、夜だけでなく昼間も頻繁に歯ぎしりや食いしばりが起こらない限りは発症しない場合が多いです。子供の歯ぎしりが続くと、次のようなリスクが考えられます。
歯の摩耗
長期間にわたる歯ぎしりは、歯のエナメル質を摩耗させ、虫歯や知覚過敏のリスクを高めます。
顎関節への負担
歯ぎしりによる圧力が顎関節にかかり、顎の痛みや開口障害(口が開きにくくなる)を引き起こすことがあります。
睡眠の質の低下
無意識に歯を強く噛みしめることで、睡眠の質が低下し、日中の疲労感や集中力の低下が見られることがあります。同じ部屋で兄弟が寝ている場合、その兄弟に睡眠不足が起こっていないかのチェックも必要です。
子供の歯ぎしりの治療
殆どの子供は成長するにつれて歯ぎしりをしなくなりますが、歯ぎしりや食いしばりによって顎や歯が痛くなったり、歯のすり減りが激しい場合は、対策としてナイトガードが処方される場合があります。
ナイトガードは透明なプラスチック製のマウスピースで、就寝中にだけ装着します。子供の歯に合うように作られており、形はアスリートが運動時の歯の保護のために使うマウスピースに似ています。
ナイトガードは就寝中にはめるもので、最初は慣れが必要ですが、歯ぎしりや食いしばりによるダメージから歯を守る効果があります。
子供の歯ぎしりの診断
子供たち自身は自分が歯ぎしりをしていることを知りませんので、歯ぎしりをしていることを特定するのは兄弟や両親ということになります。
注意すべきいくつかの兆候
- 子供が眠っているときに歯ぎしりでひどい音をたてる
- 子供が朝起きた後、顎や顔に痛みが出る
- 食事中に歯が痛む
お子さんが歯ぎしりをしている場合は、歯科医の診察を受けてエナメル質が欠けたり、歯に異常なすり減りが起こっていないかを調べ、知覚過敏のチェックをしましょう。
子供の歯ぎしりは何歳頃まで続きますか?
殆どの子供の歯ぎしりは、乳歯が全て永久歯に生え変わるタイミング(12歳前後)でおさまります。しかし中学生以上になり、思春期まで歯ぎしりを続ける子供もいます。
その原因がストレスである場合は、ストレスが和らぐまで続きますので、歯のダメージの対処だけでなく、お子さんの精神的なケアなど、歯ぎしりを起こしている原因についても対策を考えていく必要があります。
子供の歯ぎしりに関するQ&A
子供の歯ぎしりの原因は専門家でも明確にはわかっていませんが、乳歯から永久歯への生え変わりの期間中に、上下の歯が一時的に正しく噛み合っていない場合に無意識のうちに歯ぎしりが起こることがあります。また、歯が生えるときの痛みへの対応としても歯ぎしりが起こることがあります。さらに、神経の緊張や怒りなどによるストレスや悩みも一因となります。遺伝的要因も強く疑われるという研究結果もあります。
殆どの子供は成長するにつれて歯ぎしりを自然にやめますが、顎や歯に痛みがある場合やすり減りが激しい場合は、対策としてナイトガードが処方されることがあります。ナイトガードは透明なプラスチック製のマウスピースで、就寝中にだけ装着します。これによって歯のダメージを防ぐ効果があります。
殆どの子供の歯ぎしりは、乳歯が全て永久歯に生え変わるタイミング(12歳前後)でおさまりますが、中学生以上になっても続く場合もあります。原因がストレスである場合は、ストレスが和らぐまで続くことがありますので、歯のダメージの対処だけでなく、精神的なケアも重要です。定期的な歯科検診や適切なケアを行い、必要に応じてナイトガードを使用することが大切です。
まとめ
子供の歯ぎしりは、顎や歯の成長と発達に対する子供の自然な反応である場合が多く、その場合は予防することはできません。ただし、ストレスによる歯ぎしりはストレスの原因がわかればやめさせることができます。
親と子の間でコミュニケーションを取り、ストレスに対処出来るように手伝ってあげる必要があることと、定期的に歯科医院で歯の検査を受けたり、歯ぎしりや食いしばりの相談をすることが歯ぎしりの治癒に役立ちます。