あなたはどのように歯ブラシでブラッシングを行っていますか。歯磨きの一般的な4種類の方法をご紹介します。
歯磨きを正しく行うための目的とは?
歯磨きは、口腔内の健康を保つための最も基本的で重要なケアの一つです。毎日しっかりと歯磨きを行うことで、虫歯や歯周病の原因となる歯垢を除去し、歯や歯茎を清潔に保つことができます。
また、口臭の予防にも繋がり、口腔内の健康を維持することで全身の健康にも良い影響を与えます。正しい歯磨きの目的は以下のようなものです。
- 虫歯を予防する
- 歯周病を防ぐ
- 口臭を抑える
- 歯や歯茎の健康を維持する
毎日の歯磨きを怠ると、歯垢がたまって歯の表面に硬い歯石が出来、自己管理だけでは取り除くことが困難になります。そのため、正しい歯磨きを習慣化することが大切です。
歯磨きには4種類の方法があります
歯の磨き方は、一般的に4種類の方法があります。正しい知識を得られれば、健康的な歯や歯ぐきを維持できます。
バス法
- 毛先・・歯に対して45度の角度で毛先が歯茎に接するように当てながら磨いていきます。
- 特徴・・歯と歯の間(歯間)、歯と歯茎の境目、歯周ポケットの中などに毛先を挿入することが出来ます。磨きにくい場所に届く磨き方対策で、上下に小刻みに動かして振動により、汚れを取り除く方法です。
- デメリット・・歯ブラシは毛先が柔らかく細いものをおすすめします。硬めの歯ブラシでは歯肉を痛める可能性があります。
スクラビング法
- ブラシの動かし方・・歯に対して垂直に当てて、小刻みに上下に動かしながら1本ずつ磨く方法です。スクラッピング法とも呼びます。
- 特徴・・ポイントは、ペンや鉛筆を持つように歯ブラシを持ち、優しく行います。
- デメリット・・あまり強い力で行うと、歯茎下がりや歯の根元が削れるリスクがあり、痛みを伴い治療を行わなければならないため、注意が必要です。
ローリング法
- ブラシの動かし方・・毛先を歯根に向けた状態で、歯ブラシの毛のサイドを歯の根元(歯肉との境目)あたりに当て、歯の上部(歯冠)に向けて90度回転させて歯と歯茎を刷掃する方法です。
- 特徴・・回転による遠心力で歯垢を取り除きます。
- デメリット・・丁寧にローリング法で歯間を清掃すれば問題ありませんが、短い時間で行うと効果が薄いと言える方法です。
フォーンズ法
- ブラシの動かし方・・上顎・下顎とも歯を噛み合わせた状態で行います。歯に対して垂直に当て、奥から前へ小さく円を描きながら歯面についた汚れを落とす方法です。
- 特徴・・歯ブラシの操作が簡単なので上手に歯を磨けない子供や、力のない高齢者や身体に障害を持つ方が行いやすい磨き方です。
- デメリット・・噛み合わせた状態で磨くため、食べ物をすりつぶす咬合面の歯は別の方法で汚れを落とさなければ、虫歯になってしまいます。
ここに挙げた歯磨きの方法は、歯科医院でも指導が行われる有名な方法です。ただし、一種類の歯磨き方法のみでは、メリットデメリットが異なるため、汚れや歯垢を1回で綺麗に落とすことは難しいと言われています。ここに挙げた方法を組み合わせて、2種類以上の歯磨きをすると、歯や歯肉を清潔に保てます。むし歯や歯周病などのリスクからご自分の歯や歯周組織を守る事が出来ます。
歯磨きに適した道具選び
効果的な歯磨きには、適切な道具を選ぶことが重要です。歯ブラシや歯磨き粉には様々な種類があるため、患者さんに合ったものを選びましょう。
歯ブラシの選び方
- 柔らかめのブラシを選ぶ・・硬すぎるブラシは歯茎を傷つける可能性があります。
- 小さめのブラシヘッド・・奥歯までしっかり届くように小さめのヘッドが理想です。
- 持ちやすいグリップ・・安定して動かせるグリップの形状を選びましょう。
歯磨き粉の選び方
- フッ素入りのものを選ぶと、虫歯の予防に効果的です。
- 歯茎が弱い場合は、歯周病予防用の歯磨き粉がおすすめです。
選んだ道具が合っていないと、しっかり歯を磨いていても歯垢が残りやすく、お口の健康に悪影響を与えます。患者さんに最適な歯磨き道具を見つけましょう。
歯磨きの前に歯ブラシのチェックをしましょう
ブラシのヘッド部分の毛先が広がっていないものを使いましょう。毛先が広がると汚れや歯垢が取れにくいというだけではなく、摩擦が発生するため歯の外面にあるエナメル質や歯茎を痛めます。使用している間にヘッドが広がってしまった歯ブラシは交換しましょう。
また、歯と歯の間の歯垢は歯ブラシでは取り除きにくいため、歯間ブラシやデンタルフロスも使用すると、細菌は繁殖しにくくなります。
しっかりと磨くための手順
正しい歯磨きの手順は、ただ単に歯ブラシを動かすだけではありません。歯垢を効果的に除去するためには、以下のステップを守りましょう。
1. 歯ブラシを45度の角度で当てる
歯と歯茎の境目に歯ブラシを45度の角度で当て、優しく小刻みに動かします。これにより、歯茎の中に潜んでいる歯垢も効果的に除去できます。
2. 上下左右の順番で磨く
口の中を4つのエリア(右上、右下、左上、左下)に分けて、順番に磨いていきましょう。1エリアに最低でも30秒はかけて丁寧に磨くのが理想です。
3. 歯の表面だけでなく、裏側も磨く
奥歯の裏側や前歯の内側は磨き残しが多くなりがちなので、特に意識して磨くようにしましょう。
4. 必要に応じて舌を軽くブラッシングする
舌にも歯垢が溜まりやすいので、舌専用のブラシで軽くブラッシングを行い、口臭予防をします。強く擦ると舌を傷つけますので、やさしく行いましょう。
磨き残しを防ぐためのポイント
特定の箇所を磨き残してしまうことはよくあります。特に奥歯や歯の裏側、歯並びが悪い部分は歯垢が残りやすいため、以下のポイントに注意して磨くと良いでしょう。
- 歯並びが悪い箇所には、小刻みな動きでブラシを当てて、しっかりと磨きます。
- 奥歯の裏側は特に意識して、歯ブラシのヘッドをしっかり当てて磨くようにしましょう。
- 歯間には歯垢が溜まりやすいので、デンタルフロスや歯間ブラシを併用するのがおすすめです。
歯磨きの方法に関するQ&A
歯磨きは、歯面の汚れや歯垢を取り除き、口腔内の細菌の繁殖を抑えることで、虫歯や歯周病を予防するために重要です。適切な歯磨きを行うことで、健康的な歯や歯ぐきを維持し、口臭の予防にも役立ちます。
歯磨きを始める前に、歯ブラシの毛先が広がっていないものを選びましょう。毛先が広がると歯の外面や歯茎を傷つける可能性があります。また、歯と歯の間の詰まりを取り除くために歯間ブラシやデンタルフロスを併用することで、細菌の繁殖を防げます。
まとめ
ご自身のオーラルケアが不安だと思われる場合は、一度クリニックへご来院ください。歯や歯周組織をクリーニングをすることで歯石や歯垢を落とし、フッ素塗布をされるとオーラルケアの必要性も実感できます。また、磨き残しがちな歯は歯科衛生士に相談をすれば、歯ブラシ指導を受けることができます。きちんと磨けると、むし歯・歯周病・口臭の予防にも繋がります。噛む喜びを実感するためにも、歯や歯肉などは磨けているか確認を行いながらケアをしましょう。