鏡でお口を見ると歯がギザギザになっていて気になるという方がおられます。歯のギザギザはなぜ起きるのか、原因や治療法、予防など詳しくご紹介いたします。
歯のギザギザとは
生え変わったばかりの永久歯はギザギザして生え、その状態をマメロン、切縁結節(せつえんけっせつ)と呼びます。切縁結節は歯が生える過程で起きるため、病気や異常でもない健康ものです。切縁結節には乳歯の根を溶かして、乳歯を抜けるように促し、永久歯を生えさせるという大事な役割があります。
なぜギザギザで生える?
では、なぜ切縁結節の状態になるかという点についてご説明します。永久歯は顎の骨の中である程度成長して乳歯と生え変わりますが、発育中の歯は先端部分から石灰化が始まり、発育葉がくっついていきます。前歯には近心葉、中心葉、遠心葉、舌側歯頸用葉という4つの発育葉があり、奥歯に至っては4つではなく5つの発育葉で形成されているものもあります。歯冠を形成していく過程で切縁結節になるため、個人差はありますが年齢的に6歳前後にギザギザが3つある前歯が生えてきます。
どこの部分にできる?
切縁結節ができる部分は、上下の前歯(切歯)です。歯科では真ん中から1番と数えていきますが、上下左右ともに1番(中切歯)と2番(側切歯)までの歯の先端がそうなることがほとんどです。
誰に多い?
永久歯への生え変わり期は、乳歯と永久歯が混在するため混合歯列期と呼びます。6歳前後の子供に起きやすいです。ただし、子供のみではなく成人でも前歯にギザギザが残っている方がおられます。
ギザギザの歯で注意が必要なケース
前歯の先端がギザギザしているのが気になる、歯の形がおかしいというお悩みがありますが、切縁結節であれば咀嚼により角が取れて平らになるため、問題はありません。ただし、他の原因による歯のギザギザは、注意が必要です。順を追って挙げていきます。
歯並びや噛み合わせが悪い
出っ歯(上顎前突)、受け口(反対咬合)、口が閉じられない(開咬)などの不正咬合は、いずれも上下の前歯をきちんと噛み合わせることができません。上顎前突は上の前歯より下の前歯が出ていて、反対咬合は下の前歯が上の前歯より出ていて、開咬は奥歯を噛むと前歯が噛めない状態となり、前歯の切縁結節は残ったままになります。切縁結節自体は異常ではないため問題ありませんが、噛み合わせや歯並びが悪いままにしておくと、見た目という審美性以外に、咀嚼しづらいため特定の歯にダメージがかかったり、顎関節症、筋肉の発達のアンバランスによる偏頭痛や肩こりという機能的なリスクが高まります。
食生活や癖がある
最近の食材については、柔らかく加工されているものがあり、固い根菜類などの食べ物は敬遠されがちです。前歯は食べ物を小さく切る、奥歯はそれをすりつぶすという機能がありますが、細かく切ってあると、前歯で小さくちぎらなくても、奥歯ですりつぶすことが可能になります。それにより、前歯の摩耗が起きず、切縁結節のままとなることがあります。調理法を工夫して、前歯の機能をしっかり活かすことも大切です。
酸蝕症である
酸蝕症というのは、人間の身体で最も固い組織のエナメル質が強い酸に触れることにより、歯が溶けて傷む状態を指します。日本人の4人に1人は酸蝕症にかかっていると言われ、体内からの酸による内因性と、強い酸性の食品もしくは飲料による外因性に分けられます。
- 胃酸の逆流や嘔吐によるため、摂食障害や逆流性食道炎を起こしている内因性の方
- グレープフルーツなどの柑橘類や梅干し、ワインや飲むお酢などの酸味の強い飲料を好まれる外因性の方
酸蝕症は放っておくと、冷たいものや熱いものが痛みとしてしみる知覚過敏、虫歯の進行などが考えられるため、なるべく早く歯科医院で治療してもらうことが肝心です。
歯のギザギザの治療法
前歯のギザギザが気になって仕方ないし、見た目をキレイにしたいという時には、歯科での簡単な処置で対応できます。
ポリッシングや研磨処置をする
歯の表面を少し削り、滑らかに整えます。神経(歯髄)に当たらないように削るため、痛みは起きにくく短時間で処置は終了します。
コンポジットレジンでの修正
欠けが起きている歯に対してコンポジットレジン(樹脂)を盛り、歯の形を整える処置です。保険適用されるケースはありますが、自費治療のみのケースもあります。
セラミック治療
歯の色や美しさを重視して、天然歯を削り、人工歯を被せて、もしくはセラミックの薄い板を貼り付け、形や色を整えます。セラミックは保険適用外であるため自費診療になりますが、天然歯の色合いと合わせられるため、仕上がりが自然で長持ちします。
歯が欠けたり割れたことでギザギザになったり、その部分が尖っていて舌や唇に当たって痛かったり、噛み合わせが悪く歯がすり減っていたり、発音に支障が出る場合は迷わずに歯医者での対処が必要です。ただし、生理的なギザギザで、特に気にしていなければ無理に削る必要はありません。切縁結節になっていても本人が気になるかどうかが治療の判断基準になります。
歯のギザギザ悪化予防とセルフケアのやり方
ギザギザを悪化させない、あるいは歯の損傷によるギザギザを防ぐには、日常のセルフケアがポイントです。
前歯をしっかり使う
切縁結節であれば、前歯でちぎるという噛み応えのある食べ物を使った料理を食べてください。混合歯列期の子供であれば約2~3年で前歯のギザギザは平らになり、歯の形も気にならなくなります。大人の場合でも、切縁結節であればしっかりと前歯を使う食事をして噛むようにしましょう。ただし、不正咬合の子供であれば、きちんと前歯を上手に使えないということもありますので、歯の形のみではなく、歯並びや噛み方、飲み込みやすくしているかどうかもチェックしてください。
歯ぎしり・食いしばりにはナイトガード
歯ぎしりや食いしばりによる上下の歯の接触に起因する損傷のギザギザであれば、ナイトガード(マウスピース)を使いましょう。就寝時の歯の接触を意識して減らすことができます。市販のマウスピースは歯型が合いづらく痛みが出る可能性があるため、出来ればクリニックでマウスピースを作製してもらうのをおすすめします。
正しいブラッシング習慣
歯ブラシで力強く磨きすぎるとエナメル質に傷をつけてしまいます。歯垢(プラーク)は細菌の巣になりますので、それにより細菌感染が生じ虫歯や歯周病になる可能性が高くなります。柔らかめの歯ブラシを使用して歯の1本1本時間をかけて磨くようにしましょう。就寝中は唾液の分泌量が減るため、就寝前にタフトブラシやデンタルフロスなども使用し、清掃すると良いでしょう。
定期的な歯科検診
歯や歯茎の健康状態についてのチェックを定期的に行うのが定期検診です。歯のギザギザが自然なものか、それとも損傷かをプロが診断してくれます。また、ご自身では落とせない歯周ポケットにある歯石についてもクリーニングすれば口腔衛生が保たれます。
まとめ
歯のギザギザが気になって検索する人は多いですが、多くの場合は自然な状態で心配不要です。子どもの永久歯に見られるのは正常な成長の証であり、大人でも歯の損傷でなければ問題ないことが多いです。気になる場合は歯科で相談・処置が可能ですので正しいセルフケアと定期検診で、トラブルを未然に防ぎましょう。大丈夫かどうかわからないなと思ったら、自身で判断せず歯医者さんに相談するのが安心です。