矯正歯科

年齢と共に歯並びは悪くなる?

年齢と共に歯並びは悪くなる?

加齢に伴って歯並びが悪くなることがありますが、これは避けられないものなのでしょうか?年齢と共に歯並びが悪くなる原因やその対策について詳しく解説します。

加齢による歯並びの変化とは?

年齢を重ねると、以下のような歯並びの変化が起こることがあります。

1. 歯の移動

顎骨の密度が低下し、歯が動きやすくなる。

2. 歯周病の影響

歯茎が下がり、歯の支えが弱まる。

3. 噛み合わせの変化

長年の噛み癖や歯のすり減りが原因。

4. 顎骨の密度の低下

加齢により骨密度が低下すると、顎骨が歯をしっかり支える力が弱まります。この結果、歯が前方や横方向に移動しやすくなります。

5. 歯の後戻り

矯正治療を過去に受けた場合でも、長期間リテーナー(保定装置)を使用しないと歯が元の位置に戻ろうとすることがあります。この現象は「後戻り」と呼ばれ、加齢によってさらに進行しやすくなります。

6. 噛み合わせの悪化

噛む動作やすり減りが原因で、歯の高さが変化します。これが全体的な噛み合わせのズレを引き起こし、歯列全体に影響を及ぼすことがあります。

歯並びが悪くなる主な原因

加齢による歯並びの悪化には、以下のような原因が考えられます。

1. 顎骨の変化

顎骨は加齢とともに密度が低下し、歯を支える力が弱まります。その結果、歯が少しずつ動いてしまうことがあります。また、顎骨の退縮は口腔内の空間を変化させ、歯列が狭くなる原因にもなります。特に下顎の前歯部分でこれが顕著に現れることがあります。

2. 歯周病

歯周病は歯茎や顎骨を蝕む病気です。歯周病が進行すると、歯がグラグラして位置が変わりやすくなります。初期段階では症状が軽微で気付きにくいため、発見が遅れることが多いです。未治療の歯周病が長期化すると、歯を支える組織全体が崩壊し、歯並びが大幅に乱れる可能性があります。

3. 歯の摩耗

長年の噛む動作により、歯の表面がすり減ります。この摩耗が噛み合わせのバランスを崩し、歯並びに影響を及ぼすことがあります。また、歯の高さが減少すると、上下の歯が前後方向にずれることもあります。これが歯並び全体の変化に繋がります。

4. 矯正治療を受けた過去の影響

若い頃に矯正治療を受けた患者さんでも、後戻りが起きる場合があります。これには、リテーナーの使用を怠ることが関係します。さらに、加齢と共に顎骨の形状や咬合力が変化するため、矯正治療後の安定が保たれにくくなることがあります。

5. 生活習慣の影響

悪習慣や日常の癖も、歯並びの悪化に繋がります。

  • 片側噛み・・片方の歯ばかりで食べ物を噛むと、歯列全体に不均衡な力がかかります。
  • 舌で歯を押す癖・・舌で歯を押す癖があると、前歯が前方に押し出されることがあります。
  • 歯ぎしり・食いしばり・・無意識のうちに歯を強く噛みしめる習慣があると、歯並びに負担をかけます。

歯並びが悪化することで起こるリスク

歯並びが悪化すると、以下のようなリスクが生じます。

虫歯や歯垢の蓄積

歯が重なり合う部分は歯磨きがしにくくなり、虫歯や歯垢の蓄積が進む。

  • 重なった歯は清掃が難しく、特に歯間に食べ物の残りが詰まりやすい。
  • 虫歯の進行が早まることで、詰め物や被せ物が必要になるリスクが高まる。

歯周病の悪化

歯並びの乱れが歯茎への負担を増加させ、歯周病の進行を助長する。

  • 歯茎の炎症が続くと、最終的には顎骨が溶けてしまうことも。
  • 顎骨が失われると、歯を支える力が弱まり、さらなる歯並びの乱れを引き起こす。

噛み合わせのトラブル

不正咬合が原因で、顎関節症や頭痛を引き起こすことも。

  • 顎関節に過剰な負担がかかると、口の開閉時に痛みや音が発生する。
  • 慢性的な頭痛や肩こりが生じるケースもあり、全身への影響が懸念される。

審美面の問題

歯並びの乱れは、見た目にも影響を与える。

  • 笑顔に自信が持てなくなることが、精神的なストレスにつながる。
  • 特に前歯の乱れは、他人に与える印象に大きく影響を与える。

歯並びの悪化を防ぐための対策

加齢による歯並びの悪化を防ぐためには、以下のような対策が有効です。

定期的な健診

  • 最低でも半年に一度の健診を受けることで、問題の早期発見が可能。
  • 歯垢や歯石の除去を定期的に行う。

正しい歯磨き方法

  • 歯並びに合わせた歯ブラシを使用する。
  • 歯間ブラシやフロスで隙間の汚れを取り除く。

矯正治療の検討

  • マウスピース矯正(例:インビザライン)など、大人でも受けやすい矯正方法があります。
  • 歯並びの悪化を防ぐだけでなく、噛み合わせの改善も期待できます。

矯正治療の再検討が必要な場合

以前に一度治療を終えている方で、後戻りのために既に歯並びが悪化している場合は、矯正治療を再検討することが重要です。

大人の矯正治療の特徴

  • 痛みが少ない方法が増えている。
  • 部分矯正で短期間で改善できる場合もある。

矯正治療の注意点

  • 矯正治療を始める前に、歯周病や虫歯の治療が必要。
  • リテーナーを使用し、矯正後の後戻りを防ぐ。

まとめ

加齢に伴う歯並びの悪化は、定期的な健診と丁寧な歯磨きを心がけ、まず歯周病にならないように気を付けることが大切です。歯周組織が健康であれば、必要に応じて矯正治療を検討しましょう。健康な歯並びは、生活の質を大きく向上させる重要な要素です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 茨木クローバー歯科
院長 脇田 悠仁

徳島大学 歯学部卒業卒業。日本口腔インプラント学会。日本成人矯正歯科学会。日本臨床歯科学会(大阪SJCD) 学術委員・査読委員 兼任。日本臨床CADCAM学会。

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