入れ歯

入れ歯が合わないとどんなリスクがある?

入れ歯が合わないとどんなリスクがある?

入れ歯が合わないことで生じる違和感や痛みを放置すると、口腔内だけでなく全身の健康にも悪影響を及ぼすことがあります。入れ歯が合わない原因や、それによって引き起こされるリスク、適切な対処法や予防策についてご説明します。

入れ歯が合わない原因とは?

入れ歯が合わない理由はさまざまですが、主な原因として以下が挙げられます。

顎の変化

年齢や使用年数によって、顎の骨が痩せたり、形が変わることがあります。これにより、入れ歯が当初の形に合わなくなります。

噛み合わせのズレ

入れ歯を長期間使用することで、噛み合わせに変化が生じる場合があります。

メンテナンス不足

定期的な調整や健診を怠ることで、入れ歯が徐々に合わなくなることがあります。

製作時の問題

最初に入れ歯を作る際に、精密さを欠いていた場合、すぐに違和感を覚えることもあります。

合わない入れ歯による口腔内の影響

入れ歯が合わないと、口腔内にさまざまな悪影響が及びます。これらの問題は、入れ歯のフィット感が悪くなるほど深刻になり、早期に対処しないと長期的なダメージを引き起こす可能性があります。合わない入れ歯がもたらす具体的な口腔内への影響についてご説明します。

1. 痛みや不快感

合わない入れ歯は、歯茎や粘膜に圧力をかけ、不快感や痛みを引き起こします。特に、入れ歯が緩くなった場合、噛む際に入れ歯が動いてしまい、歯茎との間に摩擦が起こることがあります。

この摩擦が続くと、歯茎に炎症が起こり、痛みを伴います。痛みが強くなると、食事や会話が困難になるだけでなく、患者さんの日常生活に大きな支障をきたします。

2. 歯茎の炎症と腫れ

合わない入れ歯を使用していると、歯茎が腫れたり、炎症を起こすことがあります。これは、入れ歯が歯茎や周囲の組織を過剰に圧迫するために起こります。炎症が進行すると、歯茎の赤みや腫れが生じ、場合によっては痛みを伴うこともあります。

さらに、炎症が長引くと歯茎の組織が弱まり、歯槽膿漏(歯周病)のリスクが高まる可能性があります。

3. 口内炎や潰瘍の発生

入れ歯が部分的に当たる箇所に過剰な圧力や摩擦が加わると、口内炎や潰瘍が発生することがあります。特に、入れ歯が緩んでいる場合や、適切に調整されていない場合に、粘膜が繰り返し刺激され、潰瘍が発生しやすくなります。

口内炎や潰瘍は治りにくく、放置するとさらに深刻な症状に発展することもあるため、早期の治療が重要です。

4. 歯垢の蓄積と口臭の原因

入れ歯が合わないと、入れ歯と歯茎の間に隙間が出来やすくなります。この隙間に歯垢が溜まり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。特に、入れ歯を使用していると、歯磨きがが十分に行えないことが多いため、歯垢がたまりやすい環境となります。

また、歯垢がたまることで、口臭の原因にもなります。定期的に専用の洗浄剤などを使って入れ歯のクリーニングを行い、歯垢の蓄積を防ぐことが重要です。

5. 発音への影響

合わない入れ歯は、発音にも影響を与えることがあります。特に、入れ歯が動いてしまう場合、発音が不明瞭になり、会話に支障をきたすことがあります。また、入れ歯が合わないことで、舌や唇の動きが制限され、特定の音を正確に発音するのが難しくなることもあります。

これにより、人とのコミュニケーションが不便になり、精神的なストレスを感じる患者さんも少なくありません。

6. 顎の負担増加と咀嚼機能の低下

合わない入れ歯は、噛む力が均等に分散されないため、顎の関節や筋肉に大きなの負担をかけることがあります。この負担が長期間続くと、顎関節症を引き起こすリスクも高まります。

さらに、咀嚼機能が低下するため、食べ物を十分に噛めなくなり、消化器官にも影響を与える可能性があります。咀嚼がうまくできないと、食べ物の消化が不十分になり、消化不良や胃の不調が引き起こされることもあります。

全身の健康に及ぼすリスク

口腔内の問題だけでなく、入れ歯が合わないことで全身の健康にも悪影響を及ぼすことがあります。

  • 消化不良・・正しく噛めないことで、食べ物が十分に咀嚼されず、消化器官に負担をかけ、消化不良や胃腸のトラブルを引き起こす可能性があります。
  • 栄養不足・・噛む力が弱くなるため、食事の内容が偏り、栄養不足に陥る危険があります。
  • 姿勢の悪化・・噛み合わせのズレが姿勢に影響を与え、肩こりや腰痛を引き起こすこともあります。

合わない入れ歯を使い続けるとどうなる?

入れ歯が合わない状態を放置すると、さらなる問題が生じることがあります。

  • 歯槽骨の退縮・・適切にフィットしない入れ歯を使い続けると、顎の骨がさらに痩せてしまい、入れ歯がますます合わなくなります。
  • 嚥下機能の低下・・噛む力の低下により、飲み込む力も衰え、誤嚥(食べ物が気管に入るリスク)が増大します。
  • 精神的なストレス・・痛みや違和感を抱えながら生活することは、精神的な負担となり、ストレスや不安を引き起こすことがあります。

入れ歯の調整とメンテナンスが必要な理由

入れ歯のフィット感を保つためには、定期的な調整とメンテナンスが重要です。

定期健診の必要性

定期的な歯科健診を受けることで、入れ歯の状態や口腔内の健康をチェックし、問題があれば早期に対処できます。

専門的な調整

入れ歯が合わないと感じた場合は、自己判断で無理に使い続けるのではなく、専門の歯科医による調整を受けることが必要です。

清潔な状態を保つ

入れ歯は毎日の歯磨きや専用のクリーニング剤を使って清潔を保つことが重要です。これにより、歯垢や菌の繁殖を防ぎ、口腔内の健康を守ることができます。

入れ歯が合わないと感じたらすべきこと

入れ歯が合わないと感じた場合は、すぐに対処することが大切です。

  • 早めに歯科医へ相談・・違和感や痛みが続く場合は、早めに歯科医に相談し、適切な治療や調整を受けましょう。
  • 入れ歯の交換も視野に・・入れ歯の寿命が来ている可能性もあるため、交換を検討することも重要です。
  • 適切なメンテナンス習慣を身につける・・毎日の入れ歯ケアを怠らず、定期的なメンテナンスを行うことで、入れ歯の寿命を延ばし、口腔内の健康を保つことができます。

まとめ

入れ歯が合わない状態を放置すると、お口の健康だけでなく全身の健康にも様々なリスクを引き起こす可能性があります。痛みや違和感を無視せず、定期的に歯科健診を受け、必要に応じて調整や交換を行うことが重要です。

特に、入れ歯のフィット感が悪いと感じた場合は、早めに歯科医に相談することで、深刻な問題を未然に防ぐことができます。適切なケアとメンテナンスを続けることで、入れ歯を長く快適に使うことが出来ます。

この記事の監修者
医療法人真摯会 茨木クローバー歯科
院長 脇田 悠仁

徳島大学 歯学部卒業卒業。日本口腔インプラント学会。日本成人矯正歯科学会。日本臨床歯科学会(大阪SJCD) 学術委員・査読委員 兼任。日本臨床CADCAM学会。

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茨木クローバー歯科・矯正歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック