歯と口の基礎知識

歯磨き粉が辛くて舌がピリピリする

歯磨き粉が辛くて舌がピリピリする

歯磨き粉を使用する際に「辛い」「舌がピリピリする」と感じる方がいらっしゃいます。これらの不快な感覚は、歯磨き粉に含まれる特定の成分によるものです。

特に敏感な舌を持つ方にとっては、その刺激が歯磨きを苦痛に感じさせることもあります。歯磨き粉が辛く感じる理由や、それを和らげるための歯磨き粉の選び方についてご説明します。

なぜ歯磨き粉が辛いと感じるのか?

歯磨き粉を使用した際に、辛さやピリピリ感を感じることがあります。これは歯磨き粉に含まれる特定の成分が原因であり、特に舌が敏感な人にとっては刺激が強く感じられます。

歯磨き粉に含まれるミントやメンソールなどの香料成分は、口内をすっきりとさせる効果がありますが、同時に舌に刺激を与えることがあります。これが辛さやピリピリ感の主な原因となります。また、個々の舌の感受性にも影響されるため、人によって感じ方が異なります。

  • ミントやメンソールは清涼感を与えるが、同時に刺激を伴う。
  • 個人差があり、舌の敏感さによって感覚が異なる。

歯磨き粉の成分とその影響

歯磨き粉には、多くの成分が含まれており、その中には辛さやピリピリ感を引き起こすものがあります。以下は、一般的な歯磨き粉に含まれる成分とその影響です。

舌にピリピリ感を与える成分

歯磨き粉に含まれる成分の中で、舌にピリピリ感を与える要因となる成分には、以下のようなものがあります。

1. メンソール(Menthol)

メンソールは、ミントに由来する成分で、歯磨き粉に含まれる最も一般的な成分の一つです。メンソールは、口内に涼感を与える作用がありますが、この涼感は冷却効果を伴う刺激であり、特に敏感な舌に対してはピリピリとした感覚を引き起こすことがあります。これは、メンソールが舌の冷刺激受容体を活性化させ、冷たさを感じる神経反応を引き起こすためです。

2. ペパーミントオイル(Peppermint Oil)

ペパーミントオイルは、メンソールと似た作用を持ちますが、さらに強い香りと味わいを持っています。ペパーミントオイルに含まれるメントンやメントフランといった成分は、強い清涼感を生み出し、これが辛さやピリピリ感を助長します。特に、高濃度のペパーミントオイルが含まれている歯磨き粉は、舌に対する刺激が強く感じられることがあります。

3. エタノール(Ethanol)

エタノールは、抗菌作用を持つ成分として、口内の殺菌効果を高めるために歯磨き粉に含まれることがあります。しかし、エタノールはアルコールの一種であり、揮発性が高く、口腔内での乾燥感やピリピリ感を引き起こすことがあります。特に乾燥しやすい舌には刺激が強く感じられ、辛さや不快感を増幅する可能性があります。

4. 界面活性剤(Surfactants)

歯磨き粉の泡立ちを良くするために使用される界面活性剤も、舌にピリピリとした感覚を与えることがあります。最も一般的な界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウム(Sodium Lauryl Sulfate, SLS)で、これは口腔内の粘膜に対して刺激的であることが知られています。SLSは、泡立ちと洗浄力を高める一方で、敏感な人には口内や舌に不快な感覚を与えることがあるため、敏感な人には避けたほうが良い成分の一つです。

5. フッ化ナトリウム(Sodium Fluoride)

フッ化ナトリウムは、虫歯予防のために多くの歯磨き粉に含まれている成分です。フッ素はエナメル質を強化し、酸によるダメージから歯を守る働きがありますが、高濃度で使用されると、一部の人にとっては舌や口腔内に刺激を感じることがあります。フッ素自体は無味ですが、歯磨き粉の他の成分との相互作用により、舌にピリピリ感を感じることがあります。

6. 甘味料(Sweeteners)

歯磨き粉の味を改善するために使用される甘味料も、舌に影響を与えることがあります。サッカリンやアスパルテームなどの人工甘味料は、敏感な舌に対して違和感やピリピリ感を引き起こすことが報告されています。これらの甘味料は、特定の味覚受容体を刺激しやすいため、辛さとともに感じられることがあります。

これらの成分が相互に作用し、歯磨き粉を使用する際に舌にピリピリとした感覚を与える原因となります。歯磨き粉を選ぶ際には、これらの成分が含まれていない、または低濃度で含まれている製品を選ぶことが、ピリピリ感を軽減するための一つの方法です。

これらの成分は、通常は安全ですが、過敏な人や特定のアレルギーを持つ人には問題を引き起こすことがあります。そのため、成分表を確認し、刺激の少ないものを選ぶことが重要です。

辛さを和らげるための歯磨き粉の選び方

歯磨き粉の辛さを軽減するためには、次のような点に注意して選ぶことが重要です。

1. 低刺激性の歯磨き粉を選ぶ

低刺激性の歯磨き粉は、敏感な舌や口腔内に対して刺激を抑えるように設計されています。これらの製品には、以下のような特徴があります。

  • メンソールやペパーミントの低濃度使用・・清涼感を与える成分が控えめに配合されており、ピリピリ感を感じにくくなっています。
  • ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)フリー・・界面活性剤であるSLSが含まれていないため、泡立ちが穏やかで、舌や歯茎への刺激を減らします。
  • アレルギー反応を起こしにくい成分・・無香料、無着色、無防腐剤の製品が多く、アレルギー反応を引き起こしにくい成分が使われています。

2. フレーバーに注意する

歯磨き粉の辛さを避けるためには、フレーバー選びが非常に重要です。以下のポイントに注意して選びましょう。

  • ミント系以外のフレーバー・・ミント系のフレーバーは清涼感が強く、辛さを感じやすいため、フルーツ系やハーブ系などのフレーバーを選ぶと、辛さを軽減できる場合があります。
  • 甘味料が控えめなもの・・一部の甘味料は舌に違和感を与えることがあるため、甘味料が控えめな製品を選ぶと、辛さを和らげることができます。

3. 研磨剤の少ない歯磨き粉を選ぶ

研磨剤は、歯の表面を磨いて汚れを取り除くための成分ですが、敏感な口腔内にとっては刺激となる場合があります。研磨剤が少ないか、研磨力が弱めの歯磨き粉を選ぶことで、舌や歯茎への刺激を軽減することが可能です。

  • 微細な研磨剤・・粒子が細かい研磨剤を使用している製品は、歯の表面を優しく磨きながら、口内への刺激を最小限に抑えます。
  • 自然派研磨剤・・重曹やシリカなど、自然由来の成分を使用した研磨剤は、化学的な刺激が少なく、舌に優しい選択肢です。

4. 無添加・オーガニック成分の歯磨き粉を選ぶ

無添加やオーガニック成分の歯磨き粉は、合成化学物質を含まず、より自然な成分で作られているため、敏感な口内に対して優しいものが多いです。これらの製品は、以下の点で辛さを和らげる効果があります。

  • 化学添加物なし・・パラベンや合成着色料、合成香料など、化学的な添加物が含まれていないため、刺激が少なくなります。
  • 植物由来の成分・・カモミールやアロエベラなどの植物由来成分が配合されており、口腔内を保護しながら、優しい磨き心地を提供します。

5. 敏感な人向けの特別な製品を選ぶ

最近では、敏感な口腔内のために開発された特別な歯磨き粉も市販されています。これらの製品は、辛さを感じやすい人にとって非常に有効です。

  • ヒドロキシアパタイト配合の歯磨き粉・・歯の再石灰化を促進するヒドロキシアパタイトは、歯に優しく、刺激が少ないため、敏感な口腔内にも適しています。
  • フッ素低濃度の歯磨き粉・・フッ素の濃度が低い製品は、虫歯予防の効果を維持しながら、刺激を最小限に抑えることができます。

これらの点を考慮して歯磨き粉を選ぶことで、舌のピリピリ感を軽減し、快適な歯磨きを実現することができます。

まとめ

歯磨き粉が辛くて舌がピリピリする原因は、メンソールや界面活性剤などの成分によるものが大きいです。しかし、辛さを感じない歯磨き粉を選ぶことで、歯磨きを快適にすることができます。低刺激性や無添加の製品、オーガニック成分を選ぶと、舌への刺激を最小限に抑えることが可能です。このように、歯磨き粉に含まれている成分に注意してご自分に合った歯磨き粉を見つけることが大切です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 茨木クローバー歯科
院長 脇田 悠仁

徳島大学 歯学部卒業卒業。日本口腔インプラント学会。日本成人矯正歯科学会。日本臨床歯科学会(大阪SJCD) 学術委員・査読委員 兼任。日本臨床CADCAM学会。

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茨木クローバー歯科・矯正歯科

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