親知らずは斜めに生えたり虫歯になったりと、問題を起こすことが多い傾向があります。親知らずが生えてくる理由やその進化の過程、そして現代における親知らずの役割や問題点についてご説明します。
親知らずとは
親知らず、または第三大臼歯は、人間の口に生えてくる最後の奥歯のことを指します。一般的には17歳から25歳の間に生えてきて、第二大臼歯の更に奥に生えてきます。
名前の由来は、大きくなってから生えてくるため、既に知恵がついた年齢であることから「智歯」とも呼ばれることがあります。正式な名称は「第三大臼歯」です。
親知らずの特徴
- 口腔内の最も奥に位置する
- 他の歯よりも遅く生える
- 斜めに生えてくる人が多い
- 生えてこない場合もある
親知らずの英語名は?
親知らずは英語で「wisdom tooth」と呼ばれます。この名前は、通常成人になる時期、すなわち知恵がつく年齢に生えることから来ています。
親知らずが生える理由
人間に親知らずが生える理由は、人類の進化と食生活の変化に深く関係しています。昔の人々の食事は硬いものが多く、しっかりと食べ物を噛むことで顎が発達していたため、多くの歯が必要でした。
しかし、現代の食生活は柔らかいものが多く、顎があまり発達しなくなり、顎が細い人が多くなったことから、第三大臼歯はそれほど必要ではなくなりました。
親知らずの役割
- 昔は硬い食物を噛み砕くために重要だった
- 昔の人は顎が大きかったため、全ての歯がきれいに並んで収まっていた
親知らずの進化の謎
古代人の顎は現代人よりも大きかったため、全ての歯が無理なく生えることができました。これは、硬い食物を多く摂取していたため、顎が発達していたことが理由です。
現代では食生活が変わり、あまり硬い食べ物は好まれなくなりました。現代の子供はやわらかいものを中心とした食生活の子が多く、顎が細く小さい傾向があり、お口の中に親知らずが正常に生えるためのスペースがありません。
柔らかい食物が主流となった現代の食生活では、親知らずの役割がほとんどなくなりました。その上、親知らずがまっすぐに生えることが出来ず、抜歯が必要になる人が多くなりました。
親知らずは進化の過程で役割を失いつつありますが、なぜまだ存在するのかは完全には解明されていません。研究者たちは、親知らずが将来的に完全に人間の口の中から消えて生えてこなくなる可能性があると考えています。
親知らずの問題点
現代の人々の顎は小さくなっているため、親知らずが生えてくると様々な問題が発生します。
- 歯並びの乱れ・・スペースが足りないため、他の歯を押しのける
- 虫歯や歯周病・・一番奥に位置するため、歯ブラシが届きにくく、磨き残しが多くなって虫歯や歯周病のリスクが高い
- 痛みや腫れ・・不完全な生え方や埋伏歯の場合、痛みや炎症が起こる
- 異常な生え方をする・・横向きや斜めに生えることがあります。歯茎に埋まったまま生えてこない埋伏歯の場合もあり、埋伏歯は他の歯を圧迫して歯の根を傷つけ、、痛みや感染症を引き起こすことがあるため、抜歯が必要になることが多い
親知らずが生えるタイミング
生えるタイミングは個人差が大きく、必ずしも同じ時期に生えるわけではありません。一般的には、17歳から25歳の間に生えますが、遅く生える人もいます。また、まったく生えてこない人もいます。
生え方を決める要因
- 遺伝的要素・・家族の中で親知らずの生え方が似ている場合が多い
- 顎の発達・・顎が大きい場合、比較的スムーズに生えることがある
- 食生活・・硬い食物を好む人は顎が発達しやすい
生えてこない人もいる
すべての人に親知らずが生えてくるわけではありません。実際、全く生えない人や、一部しか生えない人もいます。これは遺伝や進化の過程で顎が小さくなったことが影響しています。
親知らずに対する治療
問題が発生した場合、適切な対処法を取ることが重要です。
- 定期的な歯科健診・・生え方異常の早期発見と早期対策が可能
- 抜歯・・問題がある場合は、問題を更に深刻にしないために早めに抜歯することが推奨される
- 適切な口腔ケア・・周囲の歯に対する虫歯、歯周病の予防が重要
親知らずの抜歯の治療費
親知らずの抜歯は健康保険が適用されるため、比較的低コストで行えます。ただし、抜歯が難しい場合や特殊な治療が必要な場合、追加費用がかかることがあります。
親知らずが生えてくるのはどうして?に関するQ&A
親知らずが生える理由は、人類の進化と食生活の変化に関連しています。昔の人々は硬い食物を多く摂取していたため、顎が発達し、多くの歯が必要でした。しかし現代の食生活では柔らかい食べ物が主流となり、顎があまり発達しなくなりました。その結果、親知らずの必要性が低下し、正常に生えるためのスペースも不足しています。
現代における親知らずの問題点には、歯並びの乱れ、虫歯や歯周病のリスク、痛みや腫れ、不完全な生え方などがあります。一番奥に位置するため、歯ブラシが届きにくく、磨き残しが多くなりがちです。また、斜めや横向きに生えることが多く、他の歯を圧迫して歯並びを乱す原因にもなります。
親知らずが生えるタイミングや生え方には、遺伝的要素、顎の発達、食生活が影響します。一般的には17歳から25歳の間に生えますが、遅く生える人や全く生えない人もいます。家族内で歯の生え方が似ることがあり、硬い食物を好む人は顎が発達しやすく、スムーズに生える場合があります。
まとめ
親知らずは人類の進化と食生活の変化に深く関係しており、現代の人々にとっては問題を引き起こすことがあります。親知らずはかつては硬い食物を効率的に噛み砕くために必要でしたが、現代の柔らかい食生活においてはその役割を失いつつあります。
その結果、多くの人がお口の中に親知らずが正常に生えてくるスペースがないために、生える時に問題が起こり、抜歯を余儀なくされています。親知らずに問題が起こることを予防するためには、定期的な歯科健診と正しい方法での歯磨きが重要です。