入れ歯は高齢の方の治療というイメージがありますが、ただ噛むための入れ歯ではなく、良く噛めるおすすめの入れ歯もあります。入れ歯は噛むために必要なので仕方なく入れている方も多いかもしれませんが、保険外治療であれば様々な進化した入れ歯があります。
目次
入れ歯の選び方のポイント
入れ歯は失った歯を補うための治療法で、患者さんにとってご自身に合った入れ歯を選ぶことは、その後の生活の質に大きく影響します。入れ歯選びの際に考慮すべき点には以下のようなものがあります。
1. 歯並びと噛み合わせ
入れ歯は、患者さんの口の形状や歯並び、噛み合わせに合わせて製作されます。しかし、入れ歯をつけた時の噛み合わせが悪いと、食事の際に食べ物をしっかり噛むことができず、消化不良や顎関節への負担が増えることがあります。
また、見た目の美しさにも影響を与えるため、入れ歯の作成時には口全体のバランスを考慮することが重要です。歯並びや噛み合わせがしっかりと合った入れ歯を選ぶことで、食事や会話が快適になり、健康な生活を送ることができます。
2. 予算
素材やデザインによって入れ歯の価格が異なるため、予算に合わせた選択も大切です。例えば、レジン製の入れ歯は保険がきくため比較的安価で、初めて入れ歯を作る場合によく選ばれますが、臭いがつきやすく耐久性に欠ける場合があります。
一方、金属床の入れ歯は薄くて丈夫ですが、保険がきかない自由診療のため高額になります。患者さんのご予算に合わせて、どの素材やデザインが最適かを歯科医と相談することが大切です。保険適用かどうかも確認しながら選ぶとよいでしょう。
3. メンテナンスのしやすさ
入れ歯は毎日何度かつけ外しをしますので、毎日のメンテナンスがしやすい入れ歯を選ぶことで、長く快適に使えます。洗わないと歯垢がたまってしまうため、専用のブラシや洗浄液を使用して、しっかりとケアを行わねばなりません。特に総入れ歯の場合、食べ物のカスや歯垢が入れ歯と歯茎の間に溜まりやすいので、取り外してしっかりと清掃する必要があります。メンテナンスがしやすい素材やデザインを選ぶことで、清潔な状態を保ちやすく、入れ歯を長く快適に使うことができます。
バネが見えて嫌な方にはノンクラスプデンチャーがおすすめ
ノンクラスプデンチャーは部分入れ歯を固定する金属がないタイプの入れ歯です。金属のバネをなくして歯茎によく似た色の樹脂でバネのような形を作り、歯につけて安定させます。
金属のバネがなく目立たないので周囲の人に入れ歯だと気づかれにくく、従来のバネをかけるタイプよりも入れ歯が外れにくいというメリットがあります。※ノンクラスプデンチャーは自由診療です。
入れ歯がグラつく方にはマグネットデンチャーがおすすめ
入れ歯の構造的な欠点は、噛む力を受け止める歯根がなく、歯茎の上に乗せて使うために安定性が悪く、強い力で噛むことが出来ないということです。これらの欠点を補うために開発されたのが、マグネットデンチャー(磁石式入れ歯)です。
マグネットデンチャーには、天然の歯にマグネットをつけるタイプと、インプラントを埋入してその先端にマグネットをつけるタイプがあります。
マグネットデンチャーの構造
マグネットデンチャーは、入れ歯を固定するために磁石の力を利用した入れ歯で、入れ歯と歯根にマグネットをつけて固定させます。マグネットは超小型高性能磁石を使用しているので、かなり強い力でくっつき、良く噛めます。
通常はマグネットデンチャーは自分の歯の歯根を利用しますが、入れ歯を支える歯根がない場合は、自分の歯の代わりにインプラントを応用して、インプラントの先端に小型のマグネットをつけます。それをインプラント・マグネットデンチャーと呼びます。※インプラントとマグネットデンチャーは共に自由診療です。
マグネットデンチャーに使われる磁石について
マグネットデンチャーにつける磁石は、日本の技術による高性能の超小型磁石です。
マグネットデンチャー(磁石式入れ歯)自体は、海外で昔からおこなわれてきた治療法ですが、磁石の大きさ、吸引力、耐久性などの性能が低かったため、あまり普及しませんでした。
それがこの超小型高性能磁石によって、新しいマグネットデンチャーとして生まれ変わりました。これは日本から世界に誇れるすばらしい技術だと思います。
インプラントの構造
インプラントはチタン製のインプラント体を人工の歯根として顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を取り付けます。歯を支える歯根を人工的に作ることが出来るため、1本の歯を丸ごと再現するという形になります。
インプラントが自分の歯と同じようにしっかりと噛めるといわれるのは、すべて人工歯根の働きによります。入れ歯のように取り外して洗う手間もありませんので、インプラントでの治療後は自分の歯と同じような感覚になります。
入れ歯の種類
入れ歯には総入れ歯(総義歯)と部分入れ歯があります。総入れ歯は床(しょう)と呼ばれるプラスチックの人工的な歯茎を実際の歯茎の粘膜に密着させた状態で入れ歯が動かないように安定させます。一方、部分入れ歯はクラスプと呼ばれるバネを近隣の歯に引っ掛けて固定します。
入れ歯の多くは保険適用で作製できますが、保険適用の入れ歯に満足出来ない場合、それ以外に以下のような自費診療の様々な種類の入れ歯があります。
- ノンクラスプ義歯(スマイルデンチャー)
- 金属床義歯
- マグネット義歯
- インプラントで固定する義歯
今の入れ歯に満足していますか?
入れ歯を使っている方にご質問です。
- 入れ歯はぴったりと合っていますか?
- おいしくものを食べられますか?
- 自然に笑ったり話したり出来ますか?
- 痛みはありませんか?
これらの質問に全て「はい」と答えられる方は、もしかしたらそれ程多くないかもしれません。入れ歯が周囲の歯や歯茎の形にぴったりと合っていて、食べることに関して不自由は全くないとしても、どうしても違和感が残る方もおられると思います。
「入れ歯なんてこんなもの」と諦めていませんか?
噛むということをおろそかにしてはいけない理由
そもそも入れ歯は噛むためにお口に入れるものです。前歯の場合は見た目ももちろんありますが、噛むということをおろそかにしてはいけません。
なぜなら、食べるという行為は動物が生きていく上で欠かせないことです。私たちの身体は私たちが食べたもので出来ているといっても過言ではないからです。毎日元気に動けるだけのエネルギーも食べたものから得ています。
身体の機能以外でも、おいしく食べることは人間にとって人生の大きな楽しみの一つで、食の楽しみを失ってしまったら人生は味気ないものになってしまいます。歯が痛かったり、グラグラしていて良く噛めないとしたら、食べること自体が苦痛になると思います。
よく噛んで食べることは、歯から刺激を脳に伝え、脳を活性化する働きがあり、その結果認知症を防ぐことに繋がるという研究結果も多くあります。しっかり噛んで食べる人には寝たきりの人が少ないともいわれています。
入れ歯は噛むために必要
- 前歯の見た目も大切だが、噛む機能を重視すべき。
食べることの重要性
- 食べたものからエネルギーを得ている。
- 食事の楽しみが人生の大きな喜びの一つ。
噛むことと健康の関係
- 噛むことで脳を刺激し、認知症予防に繋がる。
- しっかり噛む人は寝たきりになるリスクが低い。
歯の喪失の影響
- 歯が抜けると噛み合わせが悪化し、他の歯にも負担がかかる。
- 次々に歯を失う可能性がある。
入れ歯の役割
- 入れ歯は歯の機能を補うための重要な道具。
- 最新の入れ歯は進化しているが、構造的な問題が残っている。
入れ歯の限界
- 自費診療で質の良い入れ歯が作れるが、入れ歯に不満を持つ人もいる。
噛むということは、私たちが考えている以上に、全身の健康に深く関わっているのです。それは身体の健康面だけでなく、精神面にも大きな影響を与えています。虫歯がひどくなって歯を抜かなければならなくなったり、歯周病が進行すれば歯周組織が破壊されて歯が根っこから抜けてしまいます。
歯が1本抜けると、周囲の歯にも影響が及び、噛み合わせが徐々に悪くなっていったり、噛むときに極端に負担のかかる歯が出てきて、その歯がダメになることで、次々に歯が失われていくこともあります。
そして歯を失った時に、歯の機能を補ってくれるのが入れ歯です。入れ歯と聞くと、年寄りのようだと思うかもしれませんが、入れ歯はどんどん進化して、自費診療であればかなりいい入れ歯を作れるようになりました。
しかしそれでも入れ歯は入れ歯です。入れ歯を使い続ける限り、満足できないという方もおられることでしょう。それは、入れ歯が如何に進化して快適なものが作製されたとしても、入れ歯には構造的な問題があるからです。
おすすめの入れ歯に関するQ&A
はい、入れ歯は個々の口腔状態に合わせて製作できます。歯科医師は口腔の型を取り、患者の歯茎や噛み合わせを考慮して入れ歯を調整します。プロフェッショナルの手で適切な合わせを実現することが可能です。
ほとんどの場合、入れ歯による痛みはありません。正しくフィットさせるために適切に調整されている場合、口腔組織に過度の圧力がかかることはありません。しかし、長時間使用したり合わない入れ歯を使用すると、一時的な違和感や痛みが生じることがあります。
噛むことは、健康的な生活を維持するために非常に重要です。噛む動作により、食物を細かく砕き消化を助けるだけでなく、脳を活性化し認知症の予防にも繋がります。しっかり噛むことで栄養の吸収が良くなり、身体全体の健康にも良い影響を及ぼします。
まとめ
安定性と良く噛めるという点で、おすすめの入れ歯としてノンクラスプデンチャーとマグネットデンチャー、インプラント・マグネットデンチャーをご紹介しました。入れ歯を使わず、インプラントで歯の機能を取り戻すという方法もありますので、噛めなくて困っている方は、一度歯科医院にご相談ください。