虫歯

自宅でできる「虫歯を確かめる方法」とは?

虫歯かどうか確認する方法を教えて

虫歯の早期発見につながる自己チェックの方法をご紹介します。これらの方法でチェックすることで、ご自分で虫歯の初期症状を見つけ出すことができます。しかし、セルフチェックはあくまで参考の一つですので、最終的には専門的な知識と技術を持つ歯科医師に診断してもらいましょう。

チェックすべき虫歯の初期症状とは?

虫歯のチェック

虫歯のセルフチェックは日常生活の中で時々行うことが望ましいですが、あくまでも自己チェックで、医師による診断ではありませんので、定期健診は欠かさずに行くようにしましょう。以下はセルフチェックの方法の一例です。

1. 白い斑点の出現

歯の表面に白い斑点が現れることがあります。それらはエナメル質が徐々に失われているサインです。これらの斑点は最初は目立たなく見えづらいですが、歯を定期的にチェックし、注意深く見ることで早期に発見することができます。前歯やよく見える場所だけでなく、出来れば奥歯もチェックしましょう。

2. 軽い歯の痛みや敏感さ

普段は感じないような軽い痛みや飲食物の温度に対する過敏な反応も、虫歯の初期のサインです。これらの症状は、エナメル質が薄くなり、歯の内部が刺激に敏感になっていることを示しています。特に冷たい飲み物や熱い食べ物を摂った時に感じる痛みや不快感には注意が必要です。

3. 歯の色の変化

虫歯が進行すると、歯の色が変わることがあります。特に、茶色や黒ずんで見える部分は、虫歯が進行している可能性が高いです。この色の変化を早期に見つけることで、直ぐに適切な処置を行い、虫歯の進行を防ぐことができます。

4.食後の口内のチェック

食事後の口内の状態を確認し、食べ物が歯間に詰まっていないかを見ます。歯と歯の間や歯茎との間に食べカスがつく場合は、その部分に歯垢がつきやすい傾向がありますので、毎日の歯みがきの際に、特に丁寧に汚れを落とすように気をつけましょう。

自宅でできる虫歯チェック方法

  • 歯の自己観察
  • デンタルフロスや歯間ブラシの使用
  • 歯の痛みや敏感さに注意する

虫歯のセルフチェックが必要な理由

虫歯は初期の段階では痛みを伴わないことが多いので、気づきません。虫歯は早期発見、早期治療が大切で、そのまま虫歯に気づかずに進行させてしまうと、どんどん歯が溶かされて穴が空いてしまいます。そのため、ある程度の自己診断が必要になります。

虫歯の進行と治療法

虫歯の進行

虫歯の進行を悪化させないためにも、ステージ別に進行状況と治療法をご説明します。

【C0】ステージ0

・進行状況:ごく初期の虫歯です。歯の表面が少し白く濁っているような状態。
・治療法:まだ歯を削る治療はしなくても、自然治癒で治すことが可能です。フッ素塗布・キシリトール・ブラッシング指導などを行います。

【C1】ステージ1

・進行状況:歯の表面をおおっている硬いエナメル質に穴があいて、黒ずんで見えます。まだ痛みはないため、気づかない人が多いです。
・治療法:黒ずんだ虫歯部分を削って、歯科用の詰め物をします。治療はすぐに終わります。

【C2】ステージ2

・進行状況:エナメル質の中にある柔らかい象牙質に達するまで穴が広がった状態。冷たい物がしみます。
・治療法:麻酔をしてから虫歯を削り取ります。虫歯を削ってあいた穴の中に詰め物をはめて、噛み合わせなどを調整して接着します。

【C3】ステージ3

・進行状況:歯髄と呼ばれる歯の神経部分まで虫歯が達した状態。冷たい物だけでなく温かい物までしみるようになります。激しい痛みがあります。
・治療法:麻酔をしてから、虫歯と歯髄を取り除く根管治療をします。神経が入っていた歯の根管をきれいに洗浄し、中に薬剤を注入します。(根管充填)再び菌が侵入しないように被せ物(クラウン)を接着して、フタをします。治療は複数回および数日かかります。

【C4】ステージ4

・進行状態:歯冠(歯ぐきから見えている部分)が崩壊し、神経が死んで歯根だけになった状態。
・治療法:元の歯に修復することは困難なため、ほとんどの場合、歯を抜くことになります。その後、インプラント治療や義歯治療に移ります。

虫歯のリスクが高いのはどんな人?

虫歯のリスク

虫歯になりやすい人の特徴は以下のようなものです。ただし、お口の中の環境や歯の質には個人差がありますので、以下の項目の多くに当てはまっても虫歯が少ない方もおられます。

  • 同年代の人と比べて虫歯の治療痕や初期虫歯が多い
  • 炭水化物(特に砂糖)の摂取量が多い
  • 間食の回数が多い
  • 歯磨きの回数が少ない
  • 歯みがき後に磨き残しが多い
  • フッ素入りの歯磨き剤を使っていない
  • 唾液の量が少ない
  • お口のケアや健康に関心がない

虫歯予防のための歯のケアについて

歯のケアは虫歯や歯周病の予防に欠かせないものです。具体的な方法をご提案します。

1.歯ブラシとデンタルフロス

歯ブラシは適切なサイズと硬さを選び、毎日2回(特に就寝前)は歯磨きをしましょう。ブラッシングは小さな円を描くように小刻みにブラシを動かすと汚れが落ちやすいです。歯と歯の間の汚れを取るためにはデンタルフロスを毎日使用することが推奨されます。

2.歯磨き粉

フッ素配合の歯磨き粉を使用することで、歯質を強化し虫歯を予防することができます。

3.マウスウォッシュ

マウスウォッシュは口内の細菌を洗い流すのに役立ちます。ただし、ブラッシングやフロッシングの代わりにはなりません。

4.定期的な歯科検診

歯科医院で定期的に歯や歯茎のチェックとクリーニングを受けることで、虫歯や歯周病を早期発見し、適切な治療を受けることが出来ます。年に2~4回程度の受診が推奨されますが、歯周病治療の必要がある場合は、もう少し頻度が上がります。

まとめ

歯のキャラクター

虫歯の自己診断方法と、虫歯の進行に合わせた治療法についてご説明しました。虫歯を放置すると神経が死んでしまい、最終的には抜歯になってしまいますので、早めに自己チェックを行って、早期診断、早期治療に繋げましょう。定期的に歯の健診を受けて頂くと、虫歯、歯周病の早期発見がしやすいので、ぜひ歯科医院にお問合せ下さい。

虫歯の確認方法について、以下の論文を参考に説明します。

1. Karlsson (2010) の研究では、虫歯の診断において、歯の健康な組織と虫歯組織の間の光学的特性の変化に基づく検出方法が紹介されています。これらの光学的方法には、定量的光誘発蛍光法(quantitative light-induced fluorescence)、レーザー誘発蛍光法(laser-induced fluorescence)、近赤外線透過法(near-infrared transillumination)が含まれ、虫歯の早期段階での検出と定量化が可能になります。【Karlsson, 2010

2. Rousseau et al. (2002) の研究では、繊維光学顕微鏡(fibre optic microscopy, FOCM)を用いた新しい虫歯検出技術が開発されています。このシステムは、共通の繊維を光源として使用し、反射された共焦点信号を検出します。実験では、このシステムが歯の虫歯の深さやミネラル損失に関する情報を提供することが示されています。FOCMは、臨床現場での虫歯の進行状況を評価するための実用的な手法として期待されています。【Rousseau et al., 2002

これらの研究から、虫歯の確認方法は伝統的な視診や放射線撮影に加えて、光学的特性の変化を利用した新しい手法が開発されていることが分かります。これらの新しい技術は、虫歯の早期発見と正確な診断を可能にする可能性があります。

この記事の監修者
医療法人真摯会 茨木クローバー歯科
院長 脇田 悠仁

徳島大学 歯学部卒業卒業。日本口腔インプラント学会。日本成人矯正歯科学会。日本臨床歯科学会(大阪SJCD) 学術委員・査読委員 兼任。日本臨床CADCAM学会。

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茨木クローバー歯科・矯正歯科

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック