虫歯

もう虫歯になっていても予防は大事ですか?

もう虫歯になっていても予防は大事ですか?

茨木クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 脇田 悠仁

虫歯は予防が大事だと言われても、もう既に虫歯になってしまった方もおられることと思います。今更予防しても仕方ないのでしょうか?虫歯予防についてご説明します。

既に虫歯がある場合でも予防の重要性

新たな虫歯を防ぐための予防

虫歯が一度できてしまった場合、他の歯も広がるリスクがあります。適切な予防ケアを行うことで、新しい虫歯の発生を防ぐことができます。

虫歯の進行を防ぐ

初期の虫歯(C1やC2)は、進行を食い止めることが可能です。フッ素を使った治療や、正しいブラッシングで再石灰化を促進し、虫歯の進行を予防することが重要です。

虫歯の進行

既に虫歯になっている場合、C0~C1の、エナメル質だけの症状であれば、治療せずに経過観察になる場合もあります。

エナメル質に既に穴が空いている場合は、直ちに治療しましょう。治療が遅れると虫歯の穴が大きくなり、治療の際には歯を大きく削らなければならないこともありますし、痛みが出てしまうと、神経を取らなければなりませんので、通院回数や費用が多くなります。そのため、虫歯は軽度のうちに治療することをお勧めします。

虫歯の治療が終わってからは、再び虫歯にならないように予防が必要です。今までと同じ生活習慣では、数か月後にはまた虫歯が出来てしまいます。

治療後の予防の重要性

治療した歯も再び虫歯になるリスクがある

一度治療を受けた歯も、再度虫歯になる可能性があります。詰め物や被せ物の下で進行することがあるため、治療後も予防ケアが欠かせません。

治療した部分のメンテナンス

治療を受けた歯は定期健診が必要です。詰め物や被せ物が正しく機能しているか、歯科医師による定期的なチェックとクリーニングが推奨されます。

口腔ケア習慣の見直し

歯磨きの仕方の改善

虫歯になってしまった原因が、歯磨き不足や技術的な問題である場合があります。歯科衛生士から適切な歯磨き指導を受け、正しい方法で毎日ケアを行うことで、再発防止につながります。

デンタルフロスやマウスウォッシュの使用

歯ブラシだけでは歯と歯の間や歯ぐきの隙間の汚れを取り除くことが難しいため、デンタルフロスや歯間ブラシ、マウスウォッシュを併用することで、効果的な予防が期待できます。

虫歯の原因はミュータンス菌

ミュータンス菌とは

虫歯はミュータンス菌(ストレプトコッカス・ミュータンス)という細菌への感染によって起こります。

私たちが食事をすると、歯に食べかすがくっつきます。食べかすの中の糖質は時間が経つと歯垢に変わり、歯垢の中には細菌がたくさん繁殖しています。

更に時間が経つと、歯垢はカチカチの歯石に変わります。歯石もまた細菌の住処となり、細胞がどんどん増えていきますが、歯石は歯磨きでは落とせないため、歯科医院で専用の器具を使って除去しなければなりません。

ミュータンス菌などの細菌は、糖をエサにして酸を出します。歯の表面のエナメル質が酸で溶かされて穴が空いてしまうのが、虫歯です。

虫歯になりにくい生活習慣とは?

ミュータンス菌(虫歯菌)への感染は3歳頃までに周囲の大人から起こることが多く、その後はお口の中のミュータンス菌の数を出来るだけ減らすように心がけ、虫歯菌の増殖を抑えることが虫歯予防に繋がります。医科は虫歯になりにくい生活習慣の一例です。

  1. 寝る前に歯磨きしよう
  2. 間食は時間を決めて食べよう
  3. 早食いをやめよう
  4. 飲酒や喫煙はほどほどにしよう
  5. 歯科の定期健診を受けよう
  6. キシリトール100%のガムを噛もう

1.寝る前に歯磨きしよう

歯磨き

就寝中は唾液の分泌が減り、お口の中の細菌の活動が活発になります。そのため、寝る前に丁寧に歯みがきをすることで、お口の中の細菌の数を減らして生活な状態にしましょう。

歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使うと歯垢の除去に効果的です。

虫歯菌は歯のツルツルした面にはくっつかないため、歯垢をきれいに落として歯面をツルツルにしておきましょう。銀歯の表面は汚れがつきやすく、ザラザラになりやすいため、丁寧に磨きましょう。

2.間食は時間を決めて食べよう

おやつ

最も虫歯になりやすい食べ方は、だらだら食いと呼ばれる、飲食をだらだらと長時間続けるというものです。食事後はお口の中が酸性に傾き、歯のエナメル質が溶けやすい状態になります。更に、歯に汚れがついて歯垢となり、その中で細菌が繁殖して酸を出し、エナメル質を溶かします。

再石灰化と呼ばれる唾液による中和作用が追い付かないくらい歯が溶けてしまったら、その歯は虫歯になります。

虫歯菌は甘い物が好き

飴虫歯菌は糖分が多いと増えるという性質がありますので、甘い物を控えることが虫歯予防に繋がります。

糖分はアメ、チョコレート、ジュース、アイスなどの甘い物に含まれますが、炭水化物も唾液によって分解されて糖に変わります。

3.早食いをやめよう

良く噛まずに早食いをしていると、ものを噛む力が弱くなり、歯並びが悪くなる原因になります。歯並びが悪いと、虫歯のリスクが高まります。あまり噛まないと唾液も出にくくなり、消化も悪くなってしまいます。、

4.飲酒や喫煙はほどほどにしよう

喫煙をしていると、タバコの有害物質の影響で唾液の分泌が減り、お口の中が乾燥しがちになります。唾液の分泌が少ないと、お口の中に細菌が繁殖しやすくなりますので、虫歯になるリスクが高まります。

5.歯科の定期健診を受けよう

年に2~4回程度、歯の定期健診を受けると、虫歯や歯周病の早期発見が可能です。また、定期健診の時に歯のクリーニングを行いますが、歯磨きでは取れにくい歯と歯の間や歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)の歯垢や、歯石を落とすことが出来ます。

6.キシリトール100%のガムを噛もう

キシリトールはミュータンス菌の働きを弱める効果があります。毎食後にキシリトールガムやタブレットを噛むようにすると、虫歯予防に繋がります。

キシリトール入りのガムやタブレットは、出来るだけキシリトール100%のものを選びましょう。ドラッグストアなどで手に入らない場合は、歯科医院にて販売していますので、受付でお尋ねください。

虫歯と知覚過敏は違うの?

歯の変色などは見られないのに、「ときどき歯がしみて痛い」と感じることがあります。
それは、知覚過敏が原因の可能性があります。知覚過敏とは、歯の表面にある硬いエナメル質が薄くなって、歯の内側にある象牙質が露出して、刺激が神経に伝わりやすい状態のことです。

エナメル質が薄くなる原因には、「過度な歯磨き」「強く噛みしめる癖」「歯ぎしり」「噛み合わせの異常」が考えられます。放置していると、歯が削れたり欠けてしまったりすることもありますので、気になる人はお早めに歯科医院で診てもらいましょう。

虫歯菌の全身への影響

全身疾患のイメージ

虫歯菌が体全体の健康に影響を及ぼす可能性は確かにあります。その主な理由は、口腔内の細菌が血液に混入し、全身へ広がることで、他の健康問題を引き起こす可能性があるからです。

1.心臓病と虫歯菌の関連性

口内の虫歯菌などの細菌が歯茎の毛細血管から血流に入り、やがて心臓に到達すると、心内膜炎という心臓の内膜が炎症を起こす病気を引き起こす可能性があるといわれます。近年の研究によれば、歯周病は冠動脈疾患や心血管疾患のリスクを高める可能性があるとされています。

2.糖尿病と虫歯菌の関連性

口内が虫歯菌などに感染すると、インスリン抵抗性を引き起こして血糖に影響を与える可能性があります。糖尿病を持つ人々にとって血糖値をコントロール出来ないということは深刻な問題を引き起こします。

3.肺炎と虫歯菌の関連性

口内の虫歯菌などの細菌が気管に入ると、肺炎などの呼吸器感染症を引き起こす可能性があります。

4.妊娠と出産と虫歯菌の関連性

歯周病を持つ妊婦は、早産や低体重出産のリスクが高まることが報告されています。

虫歯菌などの口内の細菌は以上のような全身の健康問題を引き起こす可能性があります。虫歯や歯周病の予防、定期的な歯科健診を受けることは、全身の健康を維持するために重要です。

まとめ

歯のキャラクター

虫歯が出来てしまったら、すぐに歯科医院で診断を受け、治療が必要が場合は歯科医師から治療についての説明を受けましょう。治療後は虫歯予防のために、丁寧な歯磨きをする、歯の定期健診を受けるなど、様々な虫歯予防のための措置を実行し、大切な歯を守りましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 茨木クローバー歯科
院長 脇田 悠仁

徳島大学 歯学部卒業卒業。日本口腔インプラント学会。日本成人矯正歯科学会。日本臨床歯科学会(大阪SJCD) 学術委員・査読委員 兼任。日本臨床CADCAM学会。

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