マウスピース矯正の中でも人気のあるインビザラインで、出っ歯の治療は出来るのか、ご説明します。
目次
インビザラインで出っ歯は治りますか?
インビザラインは出っ歯やガタガタ、八重歯、受け口などの様々な不正咬合を治療してきれいな歯並びにすることが出来ます。
しかし、上顎の骨格が前に出ている場合は、インビザライン等の矯正装置を使った治療だけでは、口元の突出感がなくならないケースがあります。
骨格性の出っ歯の場合は、セットバックなどの外科矯正を行うことで、上顎が後退してきれいな横顔になります。
また、出っ歯の方の治療では、小臼歯を抜歯して、歯を大きく動かして下げていくことが多く、歯の移動が大きい場合はワイヤー矯正が適していますので、ワイヤー矯正とインビザラインを併用して治療する場合もあります。
インビザラインとは?
インビザラインはマウスピース矯正装置の一つで、透明なマウスピース(アライナー)を1日に22時間以上歯に装着して、歯並びを整えていきます。
2週間ごとに新しいアライナーに交換していくことで少しずつ歯を動かして、不正咬合を治します。アライナー1枚あたり0.25ミリ歯を移動させます。ワイヤー矯正と比べるとゆっくり歯を動かしていくため、歯が動く時の痛みが少ないのもインビザラインの特徴です。
従来のワイヤーとブラケットを歯に付ける矯正装置のように目立つことがないため、見た目を気にせずに矯正治療が受けられます。また、食事と歯磨きの際にはアライナーを外して行いますので、矯正装置が飲食や歯磨きの妨げになることはありません。
インビザラインで治りにくい出っ歯はある?
インビザラインで出っ歯を治す場合、先に奥歯を動かして前歯を後ろに下げるためのスペースを作っておいて、最後に前歯を動かしていく場合があります。
その場合、治療開始から数か月は前歯の位置が殆ど変わっていないということもあり得ます。その後、前歯を下げていきますので、急に前歯が引っ込んだという感覚になる患者さんもおられます。
インビザラインでの出っ歯治療は抜歯が必要?
抜歯矯正で出っ歯を治す場合
抜歯矯正の場合、小臼歯を抜歯して出来た隙間に前歯を移動させていきます。中度~重度の出っ歯の治療の場合は、抜歯が必須になることが多いです。
抜歯するのは手前から4番目の第一小臼歯と呼ばれる歯です。
非抜歯で出っ歯を治す場合
抜歯せずに出っ歯を治す場合は方法が2つあります。
一つは中度の出っ歯の方の歯列全体を奥へ移動させて、前歯を引っ込めるためのスペースを作るやり方です。歯を大きく動かす場合は抜歯が必要ですが、それほど大きく動かす必要がない場合は、奥歯から順番に歯を奥へ移動させていきます。
軽度の出っ歯の場合は、ディスキング(IPR、スライス)という、歯と歯の間を僅かに削ってスペースを作るやり方があります。エナメル質を0.25ミリ~0.5ミリ削りますが、エナメル質には神経がないので、痛みが出ることはありません。
インビザラインで治らない出っ歯とは?
インビザラインだけでなく、一般的に矯正装置で歯を動かしても治らない出っ歯があります。それは、骨格性の不正咬合で、上顎の過成長による上顎前突(出っ歯・口ゴボ)です。
口ゴボ
骨格性の出っ歯で、上顎の過成長が原因の場合は、歯だけを移動させても口元全体が出ているのは治りません。その場合は、セットバックなどの外科手術の適用になります。
下顎が引っ込んでいる
下顎が引っ込んでいるために、相対的に上顎が前に突き出て見える場合があります。その場合も、外科手術の適用で、下顎の顎骨をつくる手術を行います。
インビザラインで絶対に守らなければならないこと
インビザラインでは、歯列の後戻りを防ぐために、1日22時間以上の装着を推奨しています。アライナーを外している時間が長ければ長いほど、せっかく動かした歯が元に戻ってしまう「後戻り」が起こりますので、しっかりと装着時間を守りましょう。
インビザラインでの出っ歯治療に関するQ&A
出っ歯の治療方法によります。重度の場合は抜歯が必要なことがありますが、軽度や中度の出っ歯では抜歯せずに治療できることもあります。
治療期間は個人によって異なりますが、中には数か月以上かかる場合もあります。前歯を下げるためには時間がかかるため、最終的な治療結果には忍耐が必要です。
骨格性の出っ歯や上顎の過成長による口ゴボ、下顎の引っ込みなど、歯だけの移動では解決できない状態もあります。外科手術が必要な場合もあります。
まとめ
インビザラインで出っ歯を治す方法や適応症についてご説明しました。出っ歯の程度や原因によって、インビザラインで治る場合と外科手術が必要な場合がありますので、まず歯科医院の矯正カウンセリングでご相談下さい。