予防歯科

予防歯科と歯科健診の違いとは?

予防歯科と歯科検診の違いとは?

茨木クローバー歯科・矯正歯科 歯科医師 脇田 悠仁

予防歯科と歯科検診の違いがよくわからないという方も多いです。今日は、予防歯科と歯科検診のそれぞれの特徴について、ご説明いたします。

予防歯科と歯科検診って同じ?

予防歯科と歯科検診にどのような違いがあるのでしょうか。

予防歯科

予防歯科は、虫歯や歯周病にならないように予防をするための処置を行います。ご自身の歯磨きのみでは、完全な虫歯予防をすることが難しいため、歯科医師や歯科衛生士によるプロのケアを定期的に受診することが大切です。

治療を行う前に、歯の健康を維持するための適切なケアや指導を行い、患者さんが将来的に大きな問題を抱えることを防ぎます。
具体的には、以下のような内容が含まれます。

  • 定期的な歯のクリーニング(歯石取り)
  • 正しい歯磨き方法の指導
  • フッ素塗布
  • 食生活の改善指導

このように、予防歯科は患者さん自身のケアと、歯科医師による定期的なチェックを組み合わせることで、健康な口腔環境を維持することを目指しています。

歯科健診

歯科健診は、歯や歯茎の健康状態を確認するための診察です。健診の目的は、現時点での問題を早期に発見し、適切な治療を受けることです。虫歯や歯周病の進行を防ぐためには、定期的な歯科健診が欠かせません。

健診では、次のような項目が確認されます。

  • 虫歯の有無
  • 歯周病の進行状態
  • 歯並びや噛み合わせの問題
  • 歯垢や歯石の付着状況

歯科健診は、予防だけでなく治療が必要な場合も早期に対処できるようにする重要なステップです。

予防歯科と歯科検診の違いとは

一見、予防歯科と歯科健診は似ているように思われますが、それぞれに異なる目的と役割があります。

  • 予防歯科は、問題が発生する前に歯の健康を守るための取り組みです。主に患者さん自身のケアを促進し、定期的なクリーニングやフッ素塗布を通じて、問題の発生を予防します。
  • 歯科健診は、現在の歯の状態をチェックし、治療が必要かどうかを判断するものです。虫歯や歯周病などの問題が見つかった場合、その場で治療計画が立てられます。

つまり、予防歯科は「未然に防ぐ」、歯科健診は「早期に発見する」ことを重視しているという違いがあります。

歯の痛みもないのに歯科へ通院するのは、時間や費用が気になるという方もおられるでしょう。ただ、予防歯科への通院や、定期的に歯科健診を受けることで虫歯や歯周病を早期発見して治療できます。歯科健診へ行かず、重症化して歯を抜くことになれば、むし歯治療と義歯の治療を行わなければなりません。歯科健診よりも虫歯の治療費が高額になる可能性が高くなります。

予防歯科で行われる主な施術

予防歯科では、以下のような施術が行われます。

1. 歯のクリーニング

歯科衛生士が専用の器械を使って歯のクリーニングを行います。磨き残しや、歯と歯の間の汚れなど、毎日の歯磨きで落としにくい汚れを落とし、歯垢を除去することで、虫歯や歯周病になりにくくします。歯の表面をツルツルに磨くことで、汚れが付きにくくなります。当院では主にエアフローという器械を使ってクリーニングを行います。

2. 歯石取り

歯石は歯垢が固まったもので、歯磨きでは取り除けません。定期的なクリーニングによって、歯石を除去し、歯周病を防ぎます。

3. フッ素塗布

フッ素には、歯のエナメル質を強化し、虫歯の発生を抑える効果があります。特に、虫歯になりやすい子供や大人にとって有効な予防法です。

4. シーラント

シーラントは、奥歯の溝を樹脂でコーティングし、虫歯菌の侵入を防ぎます。特に奥歯が虫歯になりやすい子供に効果的です。

5. 歯磨き指導

患者さんの歯磨き習慣や磨き方をチェックし、改善点を指導します。歯垢が残りやすい箇所を重点的にケアすることで、虫歯や歯周病の予防につながります。

歯科健診の頻度と内容

歯科健診は、虫歯や歯周病などの問題を早期に発見し、必要な治療を迅速に受けるための重要な機会です。健診を定期的に受けることで、問題が小さな段階で発見され、大きな治療を避けることができます。

歯科健診の頻度

歯科健診の一般的な頻度としては、3ヶ月から6ヶ月に一度が推奨されています。この頻度で健診を受けることで、早期発見や予防が可能になり、歯の健康を長期的に守ることができます。

歯科健診の主な内容

歯科健診では、歯や歯茎の健康状態を確認し、虫歯や歯周病の早期発見・予防を目的として行われます。具体的に歯科健診で行われる内容は以下の通りです。

1. 問診

健診の最初に行われるのが問診です。患者さんの現在の歯や口腔内の状態、過去に行った治療、歯磨きの習慣、気になる症状などを歯科医師が確認します。また、全身の健康状態や持病についても確認することで、歯科治療におけるリスクを予測し、安全な治療計画を立てるための重要なステップです。

2. 口腔内の視診

歯科医師が口の中を直接見て、虫歯や歯周病、噛み合わせなどの異常がないかをチェックします。歯や歯茎の色、腫れ、出血、歯の磨耗状態などを詳しく確認し、口腔全体の健康状態を評価します。

3. 歯周ポケットの測定

歯周病が進行しているかどうかを確認するために、歯と歯茎の境目にある「歯周ポケット」の深さを測定します。健康な歯茎ではポケットは浅いですが、歯周病が進行しているとポケットが深くなり、歯を支える骨が失われている可能性があります。

4. 歯垢や歯石の確認

歯垢や歯石がどの程度付着しているかをチェックします。歯垢は虫歯や歯周病の原因となる細菌の塊であり、歯磨きで取り除かないと次第に硬くなり歯石となります。歯石は歯磨きでは取れないため、定期的なクリーニングが必要です。

5. レントゲン撮影

必要に応じてレントゲンを撮影し、目に見えない部分の異常を確認します。例えば、歯の根元に虫歯があるかどうか、歯周病による骨の減少、親知らずの位置や生え方など、肉眼では確認できない問題を診断するための重要な手段です。

これらの検査を通じて、歯科健診では口腔内の健康状態を総合的に確認し、問題があれば早期に発見し治療を行うことができます。

予防歯科と歯科健診の連携

予防歯科と歯科健診は、どちらも歯の健康を維持するために不可欠な要素です。定期的な歯科健診によって問題を早期発見し、それに基づいて予防歯科のアプローチが取られることで、長期的な口腔の健康が保たれます。

  • 歯科健診で虫歯や歯周病の兆候があった場合、予防歯科の施術やアドバイスが役立ちます。
  • 予防歯科での定期的なケアが、歯科健診での問題発見を減らし、より健康な口腔状態を維持します。

予防歯科を受けるべき理由とは?

予防歯科は、将来の大きな治療を避けるための最善の方法です。問題が大きくなる前に歯のケアを行うことで、患者さんは痛みや不快感を避け、治療費を抑えることができます。

また、予防歯科は単なる虫歯予防だけでなく、全体的な健康にも関係があります。口腔の健康は全身の健康に直結しており、特に高齢者や持病を持つ患者さんにとって、定期的な予防歯科は重要です。

  • 長期的な口腔の健康維持
  • 大きな治療や手術を避ける
  • 生活の質の向上

予防歯科と歯科健診は、両方をバランスよく取り入れることで、患者さんの口腔と全身の健康を守るための重要な役割を果たします。

まとめ


歯医者さんへの定期検診は、長い期間で考えれば、ご自身の歯をメンテナンスで健康に保てます。細菌が少ない清潔な口腔内を長く維持すると、加齢をしても歯が減ることなく食事や人との会話を楽しめます。最近歯の検診を受けていないという方は、一度かかりつけの歯科医院へ予約し、ご自分の口腔内の環境をきちんと把握してみましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 茨木クローバー歯科
院長 脇田 悠仁

徳島大学 歯学部卒業卒業。日本口腔インプラント学会。日本成人矯正歯科学会。日本臨床歯科学会(大阪SJCD) 学術委員・査読委員 兼任。日本臨床CADCAM学会。

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