マウスピース矯正の中でも人気のインビザラインにはどのような特徴があるのかご説明します。
インビザラインとは?基本的な仕組み
インビザラインは、透明なマウスピースを使用した歯列矯正方法で、歯を少しずつ理想的な位置へと動かします。従来の矯正装置と異なり、ブラケットやワイヤーを用いず、ほぼ目立たない装置で治療が進行します。このシステムは3Dスキャニングと専用ソフトウェアを活用し、患者さんお一人おひとりの口腔内に合わせたマウスピースを設計することが特徴です。
治療の流れ
- 歯科医師による初診と精密な口腔内スキャン
- コンピュータによる治療計画の作成
- マウスピースの製作・提供
- 数週間ごとに新しいマウスピースへ交換
治療期間は不正咬合の程度により異なりますが、通常1年から2年程度とされています。
インビザラインの特徴
他のマウスピース矯正にはない、インビザラインだけの特徴をご説明します。
1. マウスピースの透明性
インビザラインの最大の特徴は、その目立たない外観です。マウスピースは0.75mm以下の薄さの透明なプラスチック製で、装着しても他人にほとんど気づかれません。
これにより、特に大人の患者さんや、見た目を気にする方々に人気があります。従来の金属製ブラケットとは異なり、社会生活や対人関係に支障をきたすことなく矯正治療を受けられます。
2. 取り外し可能
インビザラインは1日20〜22時間の装着が推奨されますが、食事や歯磨きの際に簡単に取り外すことができます。装置を外して普段通りに食事や歯磨きを行えるため、食事の制限がほとんどなく、歯の清掃も容易です。
従来の固定式の矯正装置では困難だった歯間部の清掃も、マウスピースを外せるのでデンタルフロスや歯間ブラシを使って簡単に行えます。ただし、この取り外し可能な特性は、装着時間が足りないという問題を起こすこともありますので、患者さんの自己管理能力と協力が重要となります。
3. カスタムメイド
インビザラインの製作プロセスは高度にデジタル化されています。まず、iTeroという口腔内スキャナーで患者さんのお口の3Dスキャンを行い、歯型データを取ります。そのデータをもとにクリンチェックいう専用ソフトで患者さん独自の治療計画を立てます。
その後、3Dプリンティング技術を用いて、各段階に応じたマウスピースを作製します。この過程により、患者さんお一人おひとりの歯の形状や動きに合わせた矯正が可能となります。
4. 段階的に歯を動かしていく
インビザライン治療では、通常10~14日ごとに新しいマウスピースに交換します。各マウスピースは前のものよりわずかに異なる形状を持ち、徐々に歯を理想の位置に移動させていきます。一回の移動量は約0.25〜0.3mm程度で、患者さんにとって快適な範囲内で矯正を進めることができます。
5. 段階的に歯を動かしていく
インビザラインは従来の矯正器具と比べて快適さが特徴です。金属製のワイヤーやブラケットがないため、口腔内の傷や痛みが少なくなります。また、マウスピースの縁は滑らかに処理されているため、舌や頬の内側を傷つけにくいです。ただし、新しいマウスピースに交換した直後は若干の圧迫感を感じることがあります。
6. インビザラインはマウスピース型矯正のグローバルスタンダード
インビザラインは世界中の矯正歯科で使われており、2020年10月時点で世界中で900万人以上が治療を受けている実績のあるブランドです。
つまり、マウスピース型矯正の中でもグローバルスタンダードであるといえます。特にアメリカ、ドイツ、ヨーロッパで良く使われており、大勢の方々に広く認知されています。
7. iTeroで口腔内をスキャン
インビザラインでは従来の印象剤での歯型採りが不要になり、口腔内カメラを歯に添わせていくことで精密・正確な歯型データを取得することが出来ます。
印象材では歯型を採る際に変形(収縮)が起こり、更に石膏硬化時にも変形(膨張)しますので、精密さにはやや欠けてしまいます。iTeroによる3Dスキャンでは歯の形状を正確にデータ化します。
8. 歯の動きがアニメーションで確認できる
iTeroで読み取ったデータをソフトに読み込ませ、歯の動きを3Dの画面で見るることが出来ます。歯が動いていく様子をご覧いただくことで、現在の不正咬合がどのようにきれいに治っていくのかが具体的にわかり、治療後の歯並びがイメージしやすいと思います。
9. SmartTrack(スマートトラック)は装着感や審美性に優れている
インビザラインのアライナー(マウスピース)は新素材「SmartTrack(スマートトラック)」で作製されており、弾力性があるため従来のアライナーと比べてマウスピースの取り外しがより簡単に出来るようになりました。
歯により密着して持続的に歯に力をかけ続けるため、歯をより正確に動かせるようになり、装着感、審美性共に優れています。
10. アタッチメントで歯の移動を正確にコントロールする
インビザラインだけの大きな特徴がアタッチメントです。歯を動かすための力を効果的にかけて歯の動きをコントロールします。
これにより他のマウスピース矯正は難しい奥歯の移動やアーチの拡大までも行えるようになりました。
11. 矯正歯科医のスキルによって適応範囲が変わる
熟練した矯正歯科医がアタッチメントを設計することで、捻じれている歯を真っ直ぐにしたり、歯茎に埋まっている歯を引っ張り出したり、歯列を大きくしたりと、様々な症例に対応出来るようになりました。
アタッチメントの設計はクリンチェックというソフト上で行います。最初はアタッチメントはAIによって設定されますが、歯科医師がアタッチメントの種類や場所を変更することで、より歯が正確に動くようになります。
各社から販売されているマウスピース矯正の共通点
透明なプラスティック製のマウスピースで少しずつ歯を動かすことで歯並びを治していくのがマウスピース矯正です。マウスピース矯正は様々な会社が提供しており、それぞれ独自のシステムを持っていますが、共通点もあります。
- 透明なので目立ちにくい
- 食事の際に取り外しできる
- ワイヤー矯正と比べて痛みが少ない
- マウスピースを自分で取り外せるので歯磨きがしやすい
- 樹脂で出来ているので金属アレルギーの方も使える
- マウスピースの中に薬剤を入れればホワイトニングもできる
しかし、多くのマウスピースは前歯だけの矯正や、ごく軽度な不正咬合にのみ適応となり、複雑な不正咬合を治すことは出来ません。
マウスピース(アライナー)のお手入れはどうやるの?
インビザラインのマウスピース、すなわちアライナーのお手入れを怠ると、次第に汚れがついて表面が曇って透明感がなくなってきます。そのためアライナーのクリーニングは、毎回アライナーを外したタイミングで行うと効果的です。
1.毎日クリーニングしよう
毎日のクリーニングは、マウスピースが透明で美しい状態を保つために非常に重要です。朝と晩に歯磨きをする際、マウスピースも洗うのが理想的です。
2.正しい洗浄剤の使用
歯磨き粉をマウスピースにつけて洗うのは避けましょう。歯磨き粉には研磨剤が含まれていることが多く、マウスピースの表面を研磨して傷をつける可能性があるためです。マウスピースを洗う際には、無色透明で無香料の液体石鹸や専用のクリーニング剤を使うと良いです。
3.柔らかいブラシの使用
マウスピースを洗う時は柔らかめの歯ブラシを使用しましょう。硬めのブラシを使うとマウスピースの表面に細かい傷が入り、そこに細菌がたまって不潔になる可能性があります。
4.冷たい水で洗う
熱いお湯はマウスピースが変形して歪んでしまう可能性があります。冷たい水でマウスピースを洗い、きれいにすすぎましょう。
5.乾燥させる
マウスピースを洗った後は、しっかりと乾燥させてから保管し、再度お口に装着するようにしましょう。乾燥させることで、マウスピースの内部に細菌が繁殖するのを防ぎます。
まとめ
インビザラインにしかない特徴をご説明しました。アタッチメントはマウスピース型矯正装置の中でもインビザラインにしかない優れた特徴で、これにより様々な不正咬合に対応出来るようになりました。