生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には虫歯菌はいません。そのままお口の中に虫歯菌がいない状態で成長出来れ、虫歯になることはありません。しかし実際には虫歯になってしまう子供が大勢います。虫歯菌は一体どこからやってきて子供の口の中に入り込むのでしょうか?
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子供のもつ虫歯菌の多くはお母さんからうつる
小学生の唾液中から採取された虫歯菌のDNAのうちの、60~70%は母親の口内にいる虫歯菌と同じであることがわかっています。これは専業主婦のお母さんのデータで、お母さんが働いていて保育園で育った子供の場合は30%に下がります。
このデータからわかることは、赤ちゃんに密着する時間が長い大人の持つ虫歯菌が、赤ちゃんに感染するリスクが高いということです。
赤ちゃんが離乳食を食べ始めると、食べ物の熱さを確かめるためにお母さんが少し口に含むというのは、日常的にある光景だと思います。このときにスプーンや箸についたわずかな唾液の中に虫歯菌がいて、赤ちゃんのお口に入り込みます。
このように、毎日の暮らしの中のほんの些細なことから、虫歯菌は母子感染を起こします。6ヶ月くらいになると、赤ちゃんの下の前歯が生え始めます。それから3歳くらいまでの間に、子供の口の中に虫歯が定着することになります。
虫歯菌が子供にうつる主な経路
虫歯菌(ミュータンス菌)は、特定の行動や接触によって子供に伝わることがあります。親や大人が気を付けるべき行動として、以下のようなものがあります。
食器や箸の共有
子供と大人が同じ食器や箸を使うことで、虫歯菌が直接移行する可能性があります。特に、大人が自分の口に入れたスプーンや箸を子供に使うことは避けるべきです。
親子間のキス
親が子供の頬や唇にキスをすることも、虫歯菌が移る一因となることがあります。特に口周りにキスをする場合は注意が必要です。
噛み与えや口移し
離乳食などで、親が一度自分の口で噛み砕いた食べ物を子供に与える「噛み与え」や、口移しで食べ物を渡す行動も、虫歯菌が移行する主な原因です。
マイナス1歳からの虫歯予防とは?
いったんお口の中に虫歯菌が棲みつくと、どんなに歯磨きやクリーニングできれいにしても、完全にゼロにすることはできません。虫歯菌の母子感染を避けるために、かなり気を付けているお母さんでも、母子感染を防ぐことは難しいのが実情です。
お母さんの口の中に虫歯菌や歯周病菌があり、歯垢や歯石の中に細菌がたくさんいる状態であれば、赤ちゃんにもたくさんの細菌がうつるリスクが高くなります。
赤ちゃんに虫歯菌をうつさないためには、母体の口腔内の衛生状態の改善することが大切で、マイナス1歳、つまり赤ちゃんが生まれる前からの虫歯予防が注目されています。
虫歯菌の移行を防ぐための対策
親や家族が取るべき予防策を理解し、実践することで、子供に虫歯菌がうつるリスクを減らすことができます。
専用の食器を使う
子供専用のスプーンやフォーク、コップなどを用意し、大人と共有しないように心がけることが大切です。
食べ物を噛み与えない
子供が噛むのが難しい食べ物は、手で小さくちぎって与えるか、初めから食べやすい形状にして提供するようにしましょう。
親も定期的な口腔ケアを行う
親自身が虫歯菌を持っていると、子供への移行リスクが高まります。定期的な歯科健診やクリーニングを受け、親も健康な口腔環境を保つことが大切です。
出産前に虫歯や歯周病を治療しましょう
妊娠がわかったら、出産の前に虫歯や歯周病の治療を受けて、正しいセルフケアの仕方を覚えて、毎日お口の中の汚れを自分できれいに落とせるようにしなければいけません。
赤ちゃんが生まれる前にお母さんの口腔内をきれいに保つことが出来るようになることが、マイナス1歳からの虫歯予防としてまず最初にすべきことです。
女性の歯は弱く唾液の量も少ない
女性は男性と比べると唾液の分泌量が少なく、お口の中が酸性に傾くとなかなか中性に戻りません。それは女性の唾液腺のサイズが男性よりも小さいためです。
唾液の量が少ないせいで、女性は虫歯になりやすく、いったん虫歯になると進行しやすいといわれます。
更に更年期になると、ホルモンバランスの乱れから唾液の分泌量は急激に減少して、ドライマウスになりがちで、虫歯だけではなく歯周病のリスクも高くなります。
女性の歯の表面のエナメル質は、男性よりも硬度が低く、その下の象牙質も薄いことがわかっています。それもまた、女性が虫歯になりやすく進行しやすい原因になっています。
妊娠出産期の歯へのリスク
女性の妊娠出産期には、女性ホルモンが増加すると同時に、唾液の中和力が減少するという、2つのリスクが生じます。
歯周病菌の中には女性ホルモンを好む菌がいて、妊娠期には歯肉炎になりやすいことから、妊娠性歯肉炎と呼ばれます。虫歯にも注意が必要です。
つわりなどで歯磨きが十分に出来なかったり、食事が不規則にならないよう、気を付けて生活しましょう。
子供の虫歯菌についてに関するQ&A
虫歯菌が赤ちゃんのお口に入り込む主な経路は、母子感染が一般的です。具体的には、お母さんの口腔内に存在する虫歯菌が、赤ちゃんとの密着時間が長いことによって、口腔内に感染することがあります。また、赤ちゃんが離乳食を食べ始める際に、お母さんが食べ物の熱さを確かめるために少し口に含むことで、スプーンや箸についた唾液中の虫歯菌が赤ちゃんの口に入り込むこともあります。
はい、一度お口の中に虫歯菌が入り込むと、完全に除去することは難しいです。歯磨きやクリーニングをしても、虫歯菌はお口の中に残り続けます。特に母子感染を避けるためには、お母さんの口腔内の衛生状態を改善することが重要です。お母さんの口の中に虫歯菌や歯周病菌が存在し、細菌がたくさんいる状態であれば、赤ちゃんにも感染するリスクが高まります。
赤ちゃんが生まれる前からの虫歯予防とは、お母さんが妊娠が分かった段階から始める予防策です。具体的には、出産の前にお母さん自身の虫歯や歯周病の治療を受けること、正しいセルフケアの方法を学び、日常的にお口の中の汚れをきれいに落とせるようにすることが重要です。お母さんの口腔内の衛生状態を改善することで、赤ちゃんに虫歯菌をうつさないようにすることが目指されます。
まとめ
まずは難しく考えず、セルフケアで自分自身のお口の中をきれいに保つことから始めましょう。口内がきれいな状態だと、きれいな状態が心地よくなり、食事後の歯の汚れが気になります。
常に歯についた歯垢を落としてお口の中をきれいにしておく習慣を、毎日のケアや生活の工夫によって、赤ちゃんが生まれてくる日までにきちんと身につけましょう。