歯の中には虫歯が出来やすい歯があり、どの方も真っ先にその歯が虫歯になってしまいます。それはどの歯なのか、どうすれば虫歯予防が出来るのか、ご説明します。
一番虫歯になりやすい歯は?
虫歯になりやすいのは、乳歯でも永久歯でも、奥歯です。
永久歯の奥歯では、第1大臼歯が一番虫歯になりやすいです。第1大臼歯は6歳臼歯とも呼ばれており、子供の乳歯の奥歯の後ろに生えてくる、永久歯としては一番早く生える歯です。
永久歯の中で一番早く生えるということは、一番長く使っている歯ということにもなります。更に、お子さんがまだ小さい時期に生えるため、6歳臼歯はケアが行き届かず、虫歯になりやすいとも考えられます。
虫歯になりやすい歯の特徴
どの歯が虫歯になりやすいかは、歯の位置や形状によって異なります。以下の歯は特に虫歯になりやすいとされています。
奥歯(臼歯)
奥歯は咬合面に溝やくぼみが多いため、食べ物のカスや歯垢(プラーク)が溜まりやすいです。この部分は歯ブラシが届きにくいため、虫歯になるリスクが高まります。また、奥歯は食べ物をすりつぶす役割があるため、頻繁に使われることで、虫歯になる可能性がさらに高くなります。
前歯の裏側
前歯の裏側は歯ブラシが行き届きにくい場所の一つです。特に下の前歯の裏側は、唾液中のミネラル分が沈着して歯石ができやすく、それが原因で虫歯に繋がることもあります。
6歳臼歯が虫歯になりやすい理由は?
大変虫歯になりやすい6歳臼歯(第一大臼歯)ですが、どうして他の歯と比べて虫歯になりやすいのでしょうか?
- 6歳臼歯は乳歯の奥歯の更に奥に生えてくるので、生えてきたことに気づかず、歯ブラシで十分に磨けていない
- 歯の噛む面にある細い溝に汚れがたまりやすい
- 子供がまだ小さい年齢で生えてくるため、歯磨きがきちんと出来ない
- 生えたばかりの時はまだ歯茎がかぶっている状態なので汚れがたまりやすい
- 生えたての永久歯はやわらかく、虫歯になりやすい
6歳臼歯が生えてくるのは6~7歳です。生えてくる年令が早い子供ほど6歳臼歯が虫歯になるリスクが高く、生えて間もない頃に虫歯になってしまうケースも多いです。
6歳臼歯が虫歯にならないためにはどうしたらいいの?
6歳臼歯を虫歯から守るには、お子さんが6歳前後になったら奥歯の後ろから6歳臼歯が生えてきていないか、親御さんがよく見てあげることが大切です。
生えてきたばかりの歯はやわらかくて虫歯になりやすく、また、最初は歯茎から頭だけを出した状態なので、食べカスなどの汚れがたまりやすいです。
しっかりと歯ブラシで汚れを落とさないと、汚れの中に細菌が繁殖して虫歯になるリスクが高まります。お子さんはまだ小さく、大人のようにしっかりと歯ブラシを隅々まで動かすことが出来ません。そのため夜だけでも仕上げ磨きを行いましょう。
歯科医院で行っているフッ素塗布やシーラントも効果があります。
1. シーラントとは?
シーラントは虫歯の予防のために行います。奥歯の咬合面には細くてこまかい溝がたくさんあり、そこには汚れがたまりやすく、歯磨きしているつもりでも、実は溝の奥の汚れは取れていないということが起こります。
そのため、その溝の部分をあらかじめ樹脂で埋めてしまう処置がシーラントです。シーラントにはフッ素が含まれているので虫歯予防になるだけでなく、歯を強化する効果もあります。
シーラントを行う時期は、一般的に乳歯の奥歯が生えてくる3~4歳頃と、永久歯の奥歯(6歳臼歯)が生えてくる5~6歳頃、そして第2大臼歯が生えてくる12~13歳頃です。
シーラントは保険がききます。また、乳歯や永久歯の生える時期には個人差がありますので、シーラントを行う時期もお子さんによって違います。
2. フッ素塗布とは?
フッ素塗布には、歯質の強化、歯の石灰化を促す効果があり、虫歯予防にフッ素塗布はおすすめです。
フッ素塗布を受けると3ヶ月程度は効果が持続しますので、3ヶ月の間隔を目安にフッ素塗布を受けると、フッ素の効果がずっと続きます。
歯科医院で行うフッ素塗布は、高濃度のフッ素を歯に直接塗っていきます。フッ素塗布を受けたあとは、30分程度は飲食を控えます。
フッ素塗布のメリット
- 歯質の強化。酸で溶けにくい歯質を作る
- 食後に歯から溶け出すミネラル成分を再石灰化して(歯に戻して)歯を修復する
- 虫歯の原因となる虫歯菌を弱体化させて酸を出さないようにさせる
フッ素塗布は2歳頃から行うことが出来ます。ただし、フッ素塗布をしたら絶対に虫歯にならないというわけではありませんので、虫歯から歯を守るためには毎日の仕上げ磨きや、定期健診を受けることは必要です。
3. フッ素を含む歯磨き粉の使用
フッ素には歯の再石灰化を促進し、虫歯の初期段階を治す効果があります。フッ素を含む歯磨き粉を使用することで、虫歯のリスクを軽減できます。
4. 定期的な歯科健診とクリーニング
自宅でのケアだけでは、すべての歯垢や歯石を取り除くことは難しいため、定期的に歯科医院でのプロフェッショナルクリーニングを受けることが大切です。特に奥歯や歯間の清掃はプロの手で行うことで、虫歯を予防できます。
5. デンタルフロスや歯間ブラシの活用
歯と歯の間に詰まった食べ物のカスは、虫歯の大きな原因となります。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使って歯間のケアをすることが重要です。
ライフスタイルの改善も重要
食生活や生活習慣も虫歯予防に大きく関わっています。以下のポイントに注意して、ライフスタイルを改善することが、虫歯予防に繋がります。
砂糖の摂取量を控える
砂糖は虫歯の大きな原因の一つです。特に、頻繁に甘い飲み物やお菓子を摂取すると、歯に長時間糖分が残り、虫歯菌が繁殖しやすくなります。間食の回数を減らし、食事の後は必ず歯磨きをする習慣をつけましょう。
キシリトールガムを噛む
キシリトールガムは虫歯の原因菌を減少させる効果があります。特に食事後や歯磨きができないときに噛むことで、虫歯予防に役立ちます。
どの歯が一番虫歯になりやすいのかに関するQ&A
奥歯が一番虫歯になりやすい理由は、その位置が歯磨きのしにくい場所であるためです。奥歯は手が届きにくく、歯ブラシで磨きにくい細かい溝があるため、汚れや食べカスがたまりやすいのです。
6歳臼歯が虫歯になりやすい理由は、以下の要素が関係しています。
・生えたての歯はやわらかく、虫歯になりやすい性質がある。
・6歳臼歯は歯茎から頭だけが出ている状態で、汚れがたまりやすい。
・子供の手で十分な歯磨きができず、ケアが行き届かないことも影響しています。
シーラントには以下の効果があります。
・奥歯の咬合面の細かい溝を樹脂で埋めることで、汚れの蓄積を防ぐ。
・フッ素が含まれているため、虫歯予防だけでなく、歯を強化する効果もある。
まとめ
6歳臼歯(第1大臼歯)はものを噛んで食べる時にとても重要な歯です。大人になっても第1大臼歯を失わないよう、出来るだけ子供の時期から虫歯にならないように守りましょう。