生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には虫歯菌はいないのですが、いつの間にか感染して虫歯が出来てしまいます。それは親子による虫歯感染が殆どですが、親子の間でどのように虫歯が感染するのかご説明します。
目次
虫歯が親子感染するのはどんな時?
親子の間で虫歯菌への感染が起こりやすいのは、食事の際中です。
1.箸やスプーンを使いまわしていませんか?
離乳食を食べさせる時に、お母さんと子供で同じ箸やスプーンを使っていませんか? お母さんが食事をしながら同じ箸やスプーンで子供にも食べさせると、親の唾液がついた箸やスプーンが子供のお口に入ってしまい、虫歯菌などの細菌への感染が起こります。
または、離乳食が熱くないか、お母さんがフーフー息を吹きかけて冷ました後、少し噛んで熱くないか確認していませんか?この場合も、親の唾液がついた食べ物が子供のお口に入って、虫歯菌などの細菌への感染を起こします。
2.噛み与えをしていませんか?
子供が食べ物を飲み込みやすいように、親が少し噛み砕いてから子供に与えていませんか? 親の唾液が混じった食物を食べることで、子供が虫歯菌などの細菌に感染してしまいます。
注意すべきポイント
- 親が自分の口で食べ物を冷ましたり、口移しをするのを避ける
- 家族間で食器や歯磨き道具を共有しない
虫歯菌が親子間でうつる主な経路
- 唾液を通じた感染(キスや食べ物の口移し)
- 歯ブラシやスプーンなどの共有
- 食器を介しての感染
このように、親から子どもに対する接触や共有物を通じて、虫歯菌が移動しやすい状況が作られます。
子供を虫歯に感染させないために親がすべきことは?
子供が親から虫歯菌に感染しやすい生後19~31ヶ月頃の期間を「感染の窓」といいます。生後19~31ヶ月頃は、乳歯の萌出期でもあり、乳歯の虫歯への感染が起こりやすい時期とされています。
虫歯の原因菌であるミュータンスレンサ球菌は、保護者(特に母親)の唾液から子供に感染することが多く、保護者に虫歯があって唾液の中に虫歯菌が多く存在している場合は、特に子供に感染しやすくなります。
親子間での虫歯の感染を予防するには、食器の使いまわしや離乳食の噛み与えをしないことが大切ですが、保護者の口の中の虫歯菌を出来る限り減らすことが重要です。
親がもっている虫歯菌を減らすには、毎日の歯磨きでお口の中を清潔にすることと、数か月に一回は歯医者の定期健診を受けて虫歯を完全に治療し、歯垢や歯石を徐々して虫歯菌を増えにくくするということが大切です。
1.糖分を控える
お口の中に糖分が多い状態が続くと、虫歯菌が増えます。糖分は甘いお菓子や飲み物に含まれるほか、炭水化物も唾液で分解されると糖に変わります。
2.歯磨きの習慣
歯の隅々までていねいに歯磨きしましょう。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使うことで、歯と歯の間や、歯と歯茎の間の溝の部分の歯垢も除去しやすくなります。
また、フッ素が配合されたジェルを30分程度歯に浸透させるとミュータンス菌を減らすことが出来ます。
3.歯医者での定期健診
毎日の歯磨きでは落としにくい歯垢があるため、丁寧にブラッシングをしても2~4割程度の歯垢が残ってしまうといわれます。特に歯周ポケット内の歯垢は落としにくく、歯石は歯磨きで落とすことは出来ませんので、歯科医院の定期健診で取ってもらいましょう。
4.キシリトール100%のガムを噛む
キシリトールは糖アルコールに分類され、お口の中で酸を作らないため虫歯の原因になりません。更に、ミュータンス菌の活動を弱めてその数を減らしていくという働きももっています。
虫歯の原因はミュータンス菌などの細菌
虫歯は虫歯の原因菌であるミュータンスレンサ球菌などによる感染症です。
ミュータンス菌は、私たちが食事などで飲んだり食べたりしている糖分をエサにして酸を作ります。ミュータンス菌の出す酸は、歯の表面のエナメル質を溶かして穴をあけてしまいます。これが虫歯です。
ミュータンス菌などの細菌は歯と歯の間にたまった歯垢や歯石の中に棲みついて増殖していきます。ミュータンス菌がお口の中にいると必ず虫歯になってしまうというわけではありません。お口の中に生息しているミュータンス菌の数や、歯垢や歯石が多くミュータンス菌が増殖しやすいお口の環境になると、虫歯になってしまいます。
親子の歯磨き習慣が影響する場合
虫歯がうつるのは唾液を通じた細菌感染だけではなく、親子の歯磨き習慣にも影響されます。親が正しい歯磨き習慣を持たず、虫歯菌が多い場合、子どもに影響を及ぼすことがあります。特に、次のような習慣が問題となります。
- 親が歯磨きを怠っている場合・・歯垢がたまり、虫歯菌の数が増えるため、子どもにうつるリスクが高まります。
- 子どもの歯磨きが不十分な場合・・幼い子どもは自分で適切に歯を磨けないため、親のサポートが欠かせません。
虫歯予防のために
- 子どもの歯磨きをサポートする
- 定期的に親子で歯科健診を受ける
- 親も自身の口腔ケアを徹底する
虫歯の予防方法と定期健診
虫歯は予防が可能な疾患です。特に親子間での感染リスクを下げるためには、日常の口腔ケアや定期的な歯科健診が重要です。以下のポイントを意識することで、虫歯予防がより効果的になります。
予防のために実践したいこと
- 歯磨きの習慣化・・子どもに正しい歯磨きの仕方を教えるだけでなく、親自身も毎日の歯磨きを徹底することが重要です。
- フッ素の使用・・フッ素入りの歯磨き粉やフッ素塗布を行うことで、歯の再石灰化を促し、虫歯予防につながります。
- 砂糖の摂取を控える・・砂糖は虫歯菌の栄養源となるため、子どものおやつや飲み物には注意が必要です。
定期健診を受ける
歯科健診では、虫歯の早期発見や予防が行われます。親子で定期的に健診を受けることで、健康な歯を保つことができます。
家族全体で実践したい虫歯予防対策
虫歯予防は親子間だけでなく、家族全体で取り組むことが重要です。家庭での予防対策を強化することで、虫歯のリスクを大幅に減らすことができます。
家族全体でできる虫歯予防対策
- 歯磨きタイムを共有する・・家族全員で歯磨きの時間を設け、お互いに正しい歯磨きができているか確認しましょう。
- 同じ食器や歯ブラシを共有しない・・虫歯菌の感染を防ぐために、個人専用の食器や歯ブラシを使用することが大切です。
- 口腔ケア製品を使う・・フッ素入りの歯磨き粉やマウスウォッシュを取り入れて、日々のケアを充実させましょう。
親子の間で虫歯がうつるケースに関するQ&A
「感染の窓」と呼ばれる生後19~31ヶ月頃の期間です。この時期は乳歯の萌出期であり、虫歯への感染が起こりやすい時期です。
親がもっている虫歯菌を減らすことが重要です。毎日の歯磨きや歯医者の定期健診を通じて口の中を清潔に保ち、虫歯の治療や歯垢・歯石の除去に努めることが必要です。
お口の中に糖分が多い状態が続くと、虫歯菌が増えます。糖分はお菓子や飲み物だけでなく、炭水化物も含まれますので、摂取を控えることが虫歯予防につながります。
まとめ
虫歯菌は親から子供に感染することが多いため、親の側で出来る限りお口の中の虫歯菌を減らしておくことが大切です。離乳食の時期に親が子供と箸やスプーンを共用することも、子供が虫歯になるリスクの高い行為です。子供の歯の健康の為に、なるべく親のもつ虫歯菌を子供に感染させないように注意しましょう。